長谷工ライブネットが最新調査結果を公開
株式会社長谷工ライブネット(以下、長谷工ライブネット)は5日、第5回の「不動産投資に関する調査」を実施し、その結果をとりまとめて公開した。2020年から毎年行っているもので、今回は2024年6月にアセットマネジメント会社や不動産オーナーを対象として調査している。
まず、投資家に対し、現在の不動産投資市場について、物件購入や新規開発、ファンド組成などさまざまな面を考慮した時、その市場環境をどう感じるか尋ねたところ、「とても良い」は4%、「良い」が28%で、「どちらともいえない」は45%、「悪い」が21%、「とても悪い」は2%となった。
前年の2023年6月調査分に比べると、「とても良い」が2ポイント上昇した一方で、「良い」は7ポイント減少、「悪い」が4ポイント上昇するなど、やや悪化傾向が認められたが、依然「とても良い」と「良い」の合計が「悪い」「とても悪い」の合計を上回っており、堅調な環境が継続しているものと分析されている。
投資家・オーナーとして、物件購入や新規開発など、不動産投資に対する意欲は現状どうか尋ねた結果では、住宅(シングルタイプ)で、「とても高まっている」が9%、「高まっている」は47%となった。「高まっている」の回答者が前回に比べて20ポイント上昇し、一昨年調査時の水準を回復している。
住宅(ファミリータイプ)でも、「とても高まっている」は15%で前年よりやや減少したが、「高まっている」は61%で、20ポイントアップした。住宅系への投資意欲が再び上昇してきている。
オフィスについては、「とても高まっている」は2%、「高まっている」が35%で、こちらも「高まっている」が前年に比べ22ポイント増とアップした。「変わらない」との回答も46%と多いが、「弱まっている」との回答が15%と、前回より18ポイント減少している。
ホテル・旅館では、「とても高まっている」が26%で、前回より12ポイント上昇、「高まっている」も52%で、前回比9ポイントのアップになった。調査の回を重ねるほどに「とても高まっている」「高まっている」の回答が増えてきており、拡大傾向が継続している。
物流施設では、「とても高まっている」は8%で前回より11ポイント減少、「高まっている」は30%と11ポイントアップした。「変わらない」が50%で半数を占める。
商業施設は「とても高まっている」が10%で、前回より6ポイント伸びた。「高まっている」は18%でやや減、「変わらない」が64%と多くを占めた。「とても弱まっている」との回答はなく、「弱まっている」「とても弱まっている」とする声は減少傾向を続けているが、「変わらない」とする向きが強くなっている。
高齢者施設は「とても高まっている」が3%、「高まっている」は30%で、「変わらない」が67%にのぼり、あまり変動はみられなかった。一方で弱まっているとの声はなくなり、高齢化の進行で堅調なニーズを受けた投資意欲が保たれているとみられる。
寮・社宅(学生寮)については、「とても高まっている」は5%、「高まっている」が27%で、いずれも前年よりわずかに減少した。「変わらない」は56%、「弱まっている」が12%で前回より8ポイント増加している。
価格高騰の東京都心・23区人気は変わらず、名古屋の重点度がやや低下
不動産投資及び開発を行うエリアの重点度を尋ねたところ、千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区・豊島区を指す東京都心7区が、「重点的に検討」とする声を53%集め、「原則検討」も35%と高かった。
都心7区以外の東京23区も「重点的に検討」が47%で、前年から14ポイント増加、「原則検討」も40%と高水準にある。「検討エリア外」としたのは、都心7区で5%、それ以外の23区で4%にとどまった。
東京都下は「重点的に検討」が18%、「原則検討」は40%で、「条件次第で検討」が35%と前年より8ポイント増加した。その他の首都圏中核都市に関しては、「重点的に検討」が18%、「原則検討」は44%で、「条件次第で検討」が31%となっている。
札幌市は「条件次第で検討」が44%と多く、次いで「原則検討」の37%となった。仙台市も「条件次第で検討」が47%と最も多く、「原則検討」は28%、「検討エリア外」が21%で、前回に比べると7ポイント上昇している。
静岡市は「条件次第で検討」と「検討エリア外」がいずれも47%で同値になった。調査対象エリアでは、「検討エリア外」の回答率が最も高い。
大阪市は「重点的に検討」が28%で、前年より7ポイント増加した。「原則検討」も54%と高水準にある。東京都心と並び、重点エリアと考える向きが強い。
神戸市は「重点的に検討」が11%で、前年に比べ5ポイントアップしたが、「原則検討」の38%と「条件次第で検討」の40%が多くを占めている。
京都市も「重点的に検討」は9%で、前年比では6ポイントアップしたが、「原則検討」の42%と「条件次第で検討」の39%が多数を占める状況は変わっていない。
名古屋市では、「重点的に検討」が5%で、前年より4ポイント減、「原則検討」も30%と、前年比で14ポイント減少した。「条件次第で検討」との声が56%と増加しており、重点度がやや低下しているとみられる。
広島市は「重点的に検討」する向きが4%に生じたが、依然「条件次第で検討」の47%が半数近くを占め、「検討エリア外」との回答も32%とやや多かった。
福岡市は「重点的に検討」が16%、「原則検討」が42%となった。「条件次第で検討」は35%、「検討エリア外」は7%で、前回と似た結果になっている。
今後懸念している事柄では、「資材・建築費の高騰」が96%と圧倒的に多く、次いで「物件価格の高騰」の82%、「金利上昇」の79%となった。
4位は「国内の景況感悪化」の23%、5位が「入居者の立地選択や嗜好の変化」の19%で、以下「不動産購入資金の調達」と「海外の景況感悪化」の16%、「賃料の低下」の14%などと続く。
年内の政策金利については、「引き上げられる」と予測する人が84%で大半を占めた。「変わらない」は16%で、「引き下げられる」との予測は0%になっている。
賃料動向は都心や大阪で上昇見通し、とくにファミリータイプは大幅アップか
住宅不動産の今後1年における賃料動向を予測してもらうと、シングルタイプの場合、東京都心7区が「10%以上の上昇」とする向きが7%、「5%以上の上昇」が49%、「1%以上の上昇」は39%で、全体の95%が上昇を見込んでいた。
都心7区以外の東京23区でも、「10%以上の上昇」が2%、「5%以上の上昇」が46%、「1%以上の上昇」は47%となり、ほとんどの人が上昇を予測している。
東京都下も「1%以上の上昇」見通しが60%で多くなり、「10%以上の上昇」は2%、「5%以上の上昇」は19%と、都心より上昇幅として低い予測ながら、上昇を見込む向きは合計で8割を超えた。その他首都圏中核都市も、東京都下と同割合の結果になっている。
大阪市は「10%以上の上昇」が2%、「5%以上の上昇」が28%、「1%以上の上昇」が59%で、約9割は上昇を予測した。その他の主要都市においても、上昇予測は強まっているが、名古屋市では「5%以上の低下」が12%、「10%以上の低下」が5%となり、少数派ながら賃料低下を予測する向きがみられている。
静岡市や広島市では、「変わらない」との回答率が高く、それぞれ72%、65%となった。
ファミリータイプの場合では、東京都心7区で「10%以上の上昇」が14%、「5%以上の上昇」は47%、「1%以上の上昇」が35%になり、全体の96%が上昇を予測したほか、シングルタイプ以上に大幅な上昇を予測する向きが多くなった。
都心7区以外の23区でも、「10%以上の上昇」が11%、「5%以上の上昇」が40%と多く、「1%以上の上昇」も45%にみられた。
東京都下は「10%以上の上昇」が7%、「5%以上の上昇」は23%、「1%以上の上昇」は56%となり、全体の86%は上昇を予想している。その他の首都圏中核都市も「10%以上の上昇」は4%と少なめだが、「5%以上の上昇」が23%、「1%以上の上昇」が56%で、上昇見通しが8割を超えた。
大阪市は「10%以上の上昇」は4%、「5%以上の上昇」で28%、「1%以上の上昇」が59%になり、上昇幅は東京に比べて小幅だが、上昇の見通しは9割にのぼる。
賃貸マンションで賃料増額を行う場合に検討する施策として考えているものを尋ねた結果では、「専有部リフォーム」が70%と最も多く、次いで「専有部の設備交換」の61%、「エントランス等共用部・外構の改修」が56%になった。
以下「インセンティブの付与」の51%、「リノベーション(建物全体)」の44%などとなっている。「検討しない」は4%だった。
(画像はプレスリリースより)
株式会社長谷工ライブネット プレスリリース
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