三菱地所リアルエステートサービスが独自の市場調査を実施
三菱地所リアルエステートサービス株式会社(以下、三菱地所リアルエステートサービス)は17日、自社顧客を対象とする賃貸マンションマーケットの今後見通しと現在のトレンド、課題などに関するアンケート調査を実施し、その結果をとりまとめて公開した。
三菱地所リアルエステートサービスでは、賃貸マンションの市況観や市場課題を素早く的確に把握するため、同様のアンケートを定期的に実施し、その結果を公開している。
今回の調査は2024年2月26日~3月8日の期間、東京23区または大阪市所在の賃貸マンション関連事業従事者を対象に、メールマガジンを通じたWebアンケートとして行い、回収・分析を施したもので、142人から有効回答を得ている。
2023年度第4四半期にあたる、現在の賃貸マンションマーケットの状況を、どのようにみているか尋ねたところ、「拡大が続き、ピークに近づいている」とする回答が45.8%で最も多く、全体の半数近くを占めた。2022年度と比較すると、15.0ポイント増加している。
次いで多いのは「回復が続いている」とする28.9%で、3位は「ピークである」の14.8%だった。「ピークを過ぎ、減退局面に転じた」は7.0%にとどまったほか、「減退が続いている」、「減退が続き、底に近づいている」、「底である」、「底を脱し、回復局面に転じた」といった回答は0~3%未満とごくわずかで、2022年度調査と比べ、減退期との見方が大幅に減少している。
半年後の見通しについても、「拡大が続き、ピークに近づいている」とする向きが43.0%で圧倒的に多く、当面は拡大期からピークといった状態が続くと予想された。
半年後は「ピークである」は19.7%、「回復が続いている」が19.0%となった。「ピークを過ぎ、減退局面に転じた」は14.8%で、2022年度調査より10.2ポイント低下、予想よりも減退期に入るサイクルは遅れており、拡大期がなお続く強含みの予測になってきている。
懸念されるのは供給過剰
2024年の賃貸マンションマーケットに関し、悪影響を及ぼすと見込まれる要因を3つまで選んでもらったところ、「賃貸マンションの供給過剰」が70件で最も多くなった。
次いで「物価・資源価格・人件費の高騰」の68件、3位は「日銀の金融政策(金融引き締め)」と「高齢化進行・世帯数減少」の2つが55件で並んでいる。
以下「個人消費の停滞」の40件、「分譲マンション価格の低下」の20件、「企業の働き方・リモートワーク動向」の17件、「不動産相続税対策の厳格化」の15件などと続いた。
トップが供給過剰となったことに加え、「高齢化進行・世帯数減少」が前回調査時よりも増加しており、全体に需給バランスの不均衡さが主な懸念事項になっていると分かる。
また、あらゆる方面で問題となっている物価上昇や人件費の高騰はここでも多く指摘され、建築費や管理運営コストの上昇分を賃料に反映しきれない状況がある点などを含めてマイナス要因と認識されていた。
賃貸マンション事業において、とくに注力している施策・トレンドを3つまで回答してもらった結果では、「付加価値サービスの提供」が47件で最多になった。前回調査時は5位であったため、大幅に伸びている。供給過剰が懸念され始めていることもあり、他の物件との差別化に力を入れるようになってきているようだ。
2位は「専有部の仕様・設備・機能の更新・見直し」の36件で、3位には「投資(取得)戦略の見直し」と「共用部の仕様・設備・機能の更新・見直し」、「出口(販売)戦略の見直し」が34件で並んだ。
「SDGs対応」はこれに続く6位の33件であったが、コスト面で見合わないところが感じられているためか、順位を落としてきているという。
賃貸マンション事業において課題を感じている施策やトレンドを3つまで選択してもらった結果では、「投資(取得)戦略の見直し」が39件で最も多く、次いで「管理・運営コストの削減」の37件になった。
3位は「SDGs対応」と「付加価値サービスの提供」が35件で並んでいる。
5位は「ESG投資対応」の31件、6位に「DX対応・テクノロジー活用」の29件、7位「出口(販売)戦略の見直し」の25件、8位には「共用部の仕様・設備・機能の更新・見直し」と「リーシング戦略の見直し」が22件で入っている。
用地取得競争の激化や、物価・人件費の高騰が続いていることが主な課題として意識されており、多様なコストが上昇する一方で賃料には反映させにくく、整合性が取りづらくなっているとの声が目立った。
(画像はプレスリリースより)
三菱地所リアルエステートサービス株式会社 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000102049.html