最新の「オフィスレント・インデックス」が公開に
三幸エステート株式会社は7月29日、株式会社ニッセイ基礎研究所と共同で開発した、成約賃料に基づくオフィスマーケット指標の「オフィスレント・インデックス」について、2022年第2四半期版のデータ公開を開始した。
調査期間は2022年4~6月、東京都心部とは東京都心5区とされる千代田区、新宿区、中央区、港区、渋谷区とその周辺区のオフィス集積地域である「五反田・大崎」、「北品川・東品川」、「湯島・本郷・後楽」、「目黒区」を指す。
調査定義として、「Aクラスビル」は延床面積が1万坪以上、1フロア面積が300坪以上で、築年数15年以内の物件である。「Bクラスビル」は、1フロア面積200坪以上でAクラスビルに該当しないビルであり、築年数の経過によってAクラスの対象外となった物件などを含んでいる。「Cクラスビル」は1フロア面積100坪以上200坪未満のビルを指し、築年数による制限はない。
2022年第2四半期のAクラスビルでは、空室率が3.8%となり、前期より0.5ポイント悪化(上昇)した。前年同期と比較すると1.9ポイントの上昇で、低水準の1%台から3%台後半にまでアップしていることが分かる。
オフィス戦略の見直しにより、定期借家契約の期間満了に合わせた大口の現空床が生じてきているという。さらに集約移転に伴う空室も生じ、空室率が押し上げられた。3%台後半に突入し、2015年第3四半期以来の4%台も視野に入ってきている。
成約賃料ベースの平均賃料は、共益費を除いて月額坪あたり29,073円となり、前期より112円下落した。小幅な下落ではあるが、2期連続して3万円台を割り込み、4期連続のマイナスを記録している。直近のピークであった2019年第4四半期と比べると、13,169円の下落で30%超ものマイナスになっていた。
Bクラスの空室率は5%台に、Cクラスでも上昇傾向
2022年第2四半期のBクラスビル空室率は、5.1%となり前期より0.5ポイント上昇、2014年第1四半期以来の5%超になった。前年同期との比較では1.1ポイントの上昇となる。
部分解約や集約移転に伴う空室発生に加え、新築ビルへ移転したテナントの二次空室が埋まりづらく、後継テナントの確保に苦心していることなどが空室率を悪化させている。オフィス需要は回復傾向にあるが、需要が供給を下回る状況が続いており、空室率の上昇基調が継続されているようだ。
成約賃料ベースの平均賃料は、共益費を除き、月額坪あたり18,731円となった。2期連続の下落で、前期に比べ995円のマイナスになっている。前期に2万円の大台を割り込んだ賃料だが、今期は19,000円台も下回った。これは2016年第4四半期以来のこととなる。
Cクラスビルについては、空室率が4.8%となり、前期より0.3ポイント悪化した。空室率の悪化は9期連続で確認されている。前年同期比では、1.2ポイント上昇していた。
新築ビルへの移転などによる大口の募集床が後継テナントを確保できず現空床となっていることに加え、複数の新築ビルが空室を残したまま竣工し、空室率を押し上げる要因になっている。5%台も目前となり、2014年第2四半期以来の水準へと悪化傾向が進行している。
賃料は、共益費を除いて月額坪あたり16,776円となり、前期に比べ662円の下落となった。唯一上昇基調にあったCクラスビルの賃料だが、今期は3期ぶりに下落へ転じている。依然17,000円を挟んだ動きで推移しているが、今後の動向にも注意が必要とみられる。
それぞれのクラスにおける賃料を対前年変動率でみていくと、Aクラスビルは-17.7%、Bクラスビルは-7.5%、Cクラスビルが-0.4%だった。
Aクラス、Bクラスが9期連続のマイナスであったほか、Cクラスビルもわずかながらマイナスへと振れ、3期ぶりにマイナスとなっている。Bクラスビルではマイナス幅が大きく拡大した。
(画像はプレスリリースより)
三幸エステート株式会社 プレスリリース
https://www.sanko-e.co.jp/pdf/data/publish_2022-Q2.pdf