世界的にも大型ケースとなる不動産STOの実行を発表
ケネディクス株式会社(以下、ケネディクス)は19日、資産規模146億円の物流施設を裏付け資産とする総額69億1,500万円(発行価額の総額は66億3,148万円)の「不動産STO」による調達を完了したことを発表した。同社はこれをもって「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木I(譲渡制限付)」の運用を開始している。
「不動産STO」とは、ブロックチェーン技術によって権利移転などを行うデジタル証券(セキュリティ・トークン)を発行し、資金調達を実施するもの。STOはSecurity Token Offeringの頭文字をとったものになる。
投資家は、投資対象の資産を裏付け資産としたセキュリティ・トークンを取得する。「不動産STO」の場合では、この裏付け資産が不動産やそれにかかる権利となっており、実物不動産よりも売買流動性が高く、小口での投資が可能になるとみられている。
ブロックチェーンを活用することで、資金決済の短縮やコスト削減、株主優待などにおけるデジタル性を強みとした新たな価値の創出、体験の提供、デジタル証券取引所との連携による流通市場の整備など、今後のさらなる利便性向上やメリットの増大も期待される。
従来の手法では投資に消極的であった層の新規参加促進や、小規模でも魅力の高い不動産が資金を集めやすくなるといった効果も得られる可能性があるという。
ケネディクスでは、第1弾となる「不動産STO」の取り組みとして、2021年8月に日本初の公募型不動産STOを実施、この事例では、東京都渋谷区神南エリアにある鑑定価格27億4,000万円の賃貸マンションを裏付け資産としていた。
この物件の受益証券をデジタル証券化し、1口100万円2口以上で投資を募ったところ、発行価格総額14億5,300万円を大きく超える申し込みがあり、話題を呼んだ。以降も同社は裏付けとなる不動産を拠出し、不動産STO事業を推進している。
6,915口を発行、運用期間は約7年
今回の不動産STOでは、好立地にある最新の大型物流施設「ロンコプロフィットマート厚木I」を投資対象資産とした。神奈川県厚木市三田字下新田にある同物件は、圏央道「圏央厚木」ICまで約1.5キロの位置にあり、主要高速道路の結節点へのアクセスに優れる。
E棟、W棟の2棟構成で、E棟は延床面積16,068.66平米、W棟は18,897.73平米、建築されたのはいずれも2021年8月と、テナントニーズに応える築浅の大規模物流施設でもある。テナント総数は3つで、上場企業グループ会社を中心としたテナント構成により、安定的な賃料収入が期待できるともされている。
2022年5月末日時点における稼働率は100%、還元利回り(直接還元法)は3.2%だった。
ケネディクスでは、この物件を裏付け資産に不動産セキュリティ・トークン「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木I(譲渡制限付)」を立て、1口あたり100万円の発行価格で、主幹事会社の大和証券株式会社から幅広く投資家への募集を行った。
その結果、日本における「不動産STO」としては過去最大の資金調達額であり、また世界的にみても大型案件となる事例の募集を成功させることができたという。
このセキュリティ・トークンでは、6,915口を発行、信託受託者は三菱UFJ信託銀行株式会社で、アセット・マネージャーはケネディクス・インベストメント・パートナーズ株式会社が務める。ブロックチェーン基盤には「Progmat(プログマ)」が用いられた。運用期間は原則約7年となっている。
ケネディクスでは、1,000兆円を超える個人現預金の一部を不動産投資に振り向ける新たな手法として「不動産STO」を積極的に活用したいと考えており、今後はREIT、私募ファンドに次ぐ「第三の事業の柱」とすべく、2030年までに市場全体で2.5兆円の不動産がセキュリティ・トークン化された未来を目指し、さらなる取り組みの強化を図っていくとした。
ケネディクス株式会社 プレスリリース
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