非指定は約1割
国土交通省は14日、2022年12月末時点の生産緑地動向について、地方公共団体を対象に調査を行った結果を公表した。
この調査は、2022年8月~12月にかけ、全国199都市で1992年に都市計画決定された生産緑地地区が30年を経過し、買取の申し出が可能になるなど、扱いが変化することを受けて実施されたもの。生産緑地には、所有者などの意向をもとに、市町村が指定すると「特定生産緑地」となり、買取の申し出が行えない代わりに、相続税や固定資産税などの税制特例措置がさらに10年継続、延長される特定生産緑地制度がある。
この特定生産緑地指定状況について、国土交通省が調査を行ったところ、1992年に定められた生産緑地の9,273ヘクタールのうち、特定生産緑地に指定されたのは、89.3%にあたる8,282ヘクタール、指定されなかった割合は10.7%で、広さにして991ヘクタールであることが判明した。
大半が「特定」移行で市場への影響も限定的か
生産緑地は、市街化区域内にある500平米以上の一団の農地で、良好な生活環境の確保に効用があると認められるものにつき、都市計画で建築行為などを許可制により規制、都市農地の計画的な保全を図る仕組み。市区町村が条例を定めた場合には、面積用件を300平米に引き下げることもできるとされる。
生産緑地となった土地では、利用に制限がかけられ、農地などとして管理することが求められるが、固定資産税が農地課税となるほか、相続税の納税猶予制度が適用されるといった税制面のメリットが発生する。
指定は、主たる従事者の死亡などのほか、30年が経過した場合に解除となる。ただし特定生産緑地に指定され、こちらに移行すると、生産緑地地区の都市計画告示日の30年経過後から10年延長され、10年経過後は改めて所有者などの同意のもと、繰り返し10年の延長ができるとされている。
一方、特定生産緑地とならなかった場合には、生産緑地としての規制が解除され、いつでも買取申し出が可能になる。しかし、これ以降指定を受けることはできず、激変緩和の措置はあるが、税制の特例措置がなくなることになる。
1992年に定められた生産緑地は、全生産緑地面積の約8割を占めるため、これらが指定から30年を迎える2022年からは、規制の一斉解除が発生し、土地が市場に大量放出されて不動産価格の暴落が生ずる可能性も指摘されていた。
だが今回の調査結果によると、大半は特定生産緑地に移行しており、非指定で解除となった土地は約1割にとどまっている。引き続き不動産投資市場への影響は注視する必要があるが、現段階では懸念されていた事態に比べると、影響も限定的なものになると見込まれる。
(画像はプレスリリースより)
国土交通省 プレスリリース
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001586781.pdf