住宅金融支援機構が今年度の調査結果を公開
独立行政法人住宅金融支援機構は7日、「2024年度住宅ローン貸出動向調査」の結果を公開した。
この調査は、住宅ローンを取り扱う金融機関を対象に、住宅ローンの取り扱い状況に関するアンケートを実施、その結果をとりまとめたもの。調査実施期間は2024年7月~9月で、回答した機関数は301となっている。
調査は住宅金融支援機構設立時から継続されているもので、その推移をみることも可能だ。ただし2020年度からは調査名称が一部変更になっている。
今回の発表結果によると、新規の住宅ローンに関する取り組み姿勢としては、「積極的」とした金融機関が71.8%で、7割を超えた。前年度調査に比較すると0.3ポイント低下しているものの、引き続き多くの機関が積極姿勢にあるといえる。「自然体(現状維持)」は27.6%、「消極的(慎重、縮小)」は0.7%だった。
借換への姿勢の場合では、「積極的」が54.2%、「自然体(現状維持)」が45.2%、「消極的(慎重、縮小)」は0.7%となった。
住宅ローンの商品力強化にかかる取り組みについて尋ねた結果では、「返済期間35年超のローン提供」を挙げる金融機関が最も多く、75.8%にのぼった。前年度調査では57.0%にとどまっていたため、大幅に伸びている。
2位は「団体信用生命保険の保障内容の充実」の44.1%、3位が「諸費用の融資対象への追加」の43.8%だった。4位には「LGBT向けローンの提供」が22.6%で入り、5位が「申込時の金利が適用可能なローンの提供」の20.9%となっている。
日銀の政策変更を受け顧客照会増加が半数超
今後、最も重視する(伸長が期待される)金利タイプについて尋ねると、「変動型」が59.3%で最も多く、次いで「固定期間選択型(10年)」の19.9%だった。3位は「固定期間選択型(2・3年)」の7.7%、4位が「全期間固定型」の5.1%、5位に「固定期間選択型(5年)」の3.0%が続く。
審査内容や審査基準に関して変化があったか尋ねた結果では、「やや厳格化した」金融機関が3.3%にみられたものの、「変わらない」が91.7%で圧倒的に多く、「やや緩和した」も5.0%に見受けられた。
重視度が増している審査項目では、「返済負担率(毎月返済額/月収)」が73.3%で最も多く、次いで「職種、勤務先、雇用形態」の46.3%、「借入比率(借入額/担保価値)」の42.3%などとなった。
2024年3月に日本銀行のマイナス金利政策が解除され、住宅ローンの金利動向にも関心が集まり始めているが、こうした動きを受けて金利見直しに関する顧客からの照会動向はどうか、状況の変化を尋ねたところ、1年前の2023年6月末時点と比較して「増えている」または「多少増えている」と回答した金融機関が53.2%で過半数になった。
「変わらない」も45.5%と多いが、「やや減っている」は1.3%、「減っている」は0.0%となり、やはり一定の関心の高まりが見受けられている。
環境配慮型住宅ローンの取り扱い状況では、徐々に取り扱い金融機関が増えてきており、今回調査で「取り扱っている」が37.0%となった。前年度調査より4.1ポイント増加している。なお「取り扱いを検討中」は5.0%、「取り扱っていない」が58.0%だった。
空き家関連のローンは「取り扱っている」が55.5%で、前年度調査より6.7ポイント上昇、「取り扱いを検討中」は1.7%、「取り扱っていない」が42.9%となった。
リバースモーゲージへの取り組みに関しては、姿勢として「積極的」とした金融機関が23.8%、「自然体(現状維持)」が66.2%で最も多く、「消極的(慎重、縮小)」は10.0%だった。
主に扱っている金利タイプ等は「変動型(ノンリコース)」が78.5%で圧倒的に多く、次いで「変動型(リコース)」の16.5%、「全期間固定型(ノンリコース)」の5.0%となった。
リバースモーゲージの新規貸出件数は、2023年度実績で2,405件となり、前年度比で6.4%の増加になった。ただし貸出金額は281億円で、前年度比3.4%の減少となっている。
(画像はプレスリリースより)
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独立行政法人住宅金融支援機構 プレスリリース(2024年度住宅ローン貸出動向調査結果資料)
https://www.jhf.go.jp/files/400372590.pdf独立行政法人住宅金融支援機構 ホームページ
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