まちづくり融資対象の見直しと建て替え円滑化へのスキームを発表
独立行政法人住宅金融支援機構は24日、密集市街地などにおける防災機能や居住環境の整備支援のために実施している「まちづくり融資」の支援対象地域にかかる見直しを行うと発表した。
あわせて密集市街地における既存建築物の建て替えを円滑化する、新たな信託融資スキームを構築することも明らかにしている。
まず、地方公共団体による密集市街地解消への取り組みを支援するため、「まちづくり融資」の対象地域に、「地方公共団体が定める密集市街地」も対象に追加する。適用は2025年4月1日からとなる。
国の補助制度などで指定されているエリア以外でも、この融資の利用が可能となるため、自治体が地域の特性を活かして独自に進める取り組みを活発化させられると考えられている。
「まちづくり融資」は、共同建て替え事業による賃貸住宅建設資金などに用いることができるもので、個人や中小事業者などの構想・計画段階から事業完了までの各段階における資金ニーズに対応した融資を準備してもらえる。
個々の地権者の信用力に依存しない新スキーム
新しい信託融資スキームは、密集市街地ならではの問題に対応するものとして構築された。
密集市街地の場合、建物が老朽化していても、接道の問題などから単独での建て替えが難しく、隣接地の地権者同士が共同で建て替えを行わねばならないケースがしばしばある。
こうした場合に、地権者同士の利害関係が相反したり、個々の地権者で資金調達に課題があったりすると、円滑な建て替えが進まなくなる。
そこで、現行の融資スキームに関し信用補完方法を工夫、個々の地権者の信用力に依存せず、複数の地権者が不動産管理信託契約を用いて建て替えを行える信託融資スキームを信託会社と共同で構築、2024年11月から運用をスタートさせた。
住宅金融支援機構と協定書を締結した信託会社に限られた仕組みとはなるが、その信託会社が地権者から不動産管理の信託を受託すれば、敷地の接道や利害関係の問題が解消され、事業収支による与信判断で利用可能になる。
この場合、地権者は所有不動産を信託会社に信託譲渡し、土地利用を一体化させ、拠出した不動産の割合に応じて受益権を取得するものとなる。
信託会社は融資申込人となって賃貸住宅を一体建設、地権者の指図をもとに賃貸経営を行い、得られた収益を受益権割合に応じて地権者へと配分する。地権者は希望に応じ、その賃貸住宅に入居することもできる。
独立行政法人住宅金融支援機構 プレスリリース
https://www.jhf.go.jp/files/400372499.pdf