空室率は回復傾向、主要5区では久々の4%台
三菱地所リアルエステートサービス株式会社(以下、三菱地所リアルエステートサービス)は9日、2024年9月末時点の東京主要7区に立地する大規模オフィスビルの市場動向調査結果を発表した。
この調査における主要7区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区、江東区を指し、主要5区はこのうちの品川区と江東区を除いたものとなる。
大規模オフィスビルとは、延床面積3,000坪以上の賃貸オフィスビル物件で、今回の調査対象数は983棟だった。
2024年9月末時点での主要7区における平均空室率は5.13%で、前月に比べ0.17ポイント、前年同月に比べ1.43ポイント低下、改善傾向となった。
区別では、前月比で新宿区のみ悪化、前年同月比では渋谷区がわずかに悪化となっている。具体的な数値でみると、千代田区が2.29%、中央区は5.92%、港区が6.86%、新宿区で5.68%、渋谷区は3.28%、品川区が6.55%、江東区で5.39%だった。
主要5区で算出すると、平均空室率は4.94%となり、前月より0.17ポイント、前年同月より1.44ポイント低下し、44カ月ぶりに5%を下回った。2023年の大量供給の影響もあり、一時は6.88%にまで上昇していた空室率だが、昨今は順調に回復傾向をたどっている。
賃料も主要7区で堅調に推移
2024年9月における平均募集賃料は、主要7区全体で月額坪あたり28,464円となり、前月に比べると108円下落したが、前年同月比では1,126円の上昇と堅調な推移になった。
区別にみると、前月比では港区と渋谷区、江東区が下落、前年同月比では中央区、新宿区、品川区、江東区が下落となっている。
具体的値は、千代田区が月額坪あたり39,927円で最も高く、前月より100円、前年同月比でも2,913円の上昇となった。空室率も2%台の低水準である同区には底堅いオフィス需要があり、賃料も4万円台を目前とするまでに上昇してきた。
中央区は、月額坪あたり21,418円、港区が月額坪あたり32,803円、新宿区は月額坪あたり28,106円、渋谷区で月額坪あたり30,796円だった。品川区は月額坪あたり19,186円、江東区は最も低い月額坪あたり16,062円となる。
主要5区で分析すると、月額坪あたり31,097円で、前月比では138円下落したが、前年同月比では1,371円の上昇になった。
2024年1月~2024年8月のオフィス移転事例における、移転元ビルと移転先ビルの築年数傾向では、業種を問わず、現状より築年数が浅い物件に移転する傾向が強いことが判明した。
移転傾向では、「学術研究、専門・技術サービス業」の「未竣工」物件への移転が22%と、5業種中最も高くなっている。同業種は移転元の築年数で築31年以上に当たるケースが77.8%とかなり高いことも特徴的であった。
「製造業」や「金融業、保険業」では、未竣工物件への移転は1割前後にとどまるものの、築10年以内の物件への移転が過半を占め、比較的築年数の浅い物件を選んでいることが分かる。
これに対し、「情報通信業」や「卸売業、小売業」では、築11年~築31年以上が過半数にのぼり、移転先もさほど築浅物件ではない事例が目立っている。
(画像はプレスリリースより)
三菱地所リアルエステートサービス株式会社 プレスリリース(PR TIMES)
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