成長加速を目指すための“バリュー”“ミッション”“ビジョン”
シノケングループは1月8日、中長期ビジョンを発表した。
創業30周年を迎え、これまで培ってきたノウハウや経営理念を“バリュー”と定め、それを礎に新たな“ビジョン”と“ミッション”を策定。持続的な成長軌道に乗せるための戦略として、国内外において広く展開していく方針だ。
富裕層の特権から会社員のための資産形成へ
まず“バリュー”からみていこう。
シノケングループは不動産投資を富裕層のみの特権とするのではなく、自己資金が少ない会社員でも不動産投資ができる仕組みを作りたいとの想いから、「アパートメント経営による資産づくり」を創業時から提供してきた。
単なる投資にとどまらず、アパートメント経営のサポートから、超高齢化社会で不可欠となる介護領域までもカバーし、生涯を通した独自のライフサポートシステムを、創業以来30年をかけて構築。
サラリーマンでも不動産投資で安定した収入が得られるという新たなアパートメント経営ノウハウは、不動産流通革命ともいえる画期的なビジネスモデルとして高く評価されている。
創業者の体験をもとにした独自ノウハウ
この革新的なビジネスモデルは、創業者自身の成功体験が基となっている。
創業者は会社員時代に、老後に必要な資産を得るための方法としてアパートメント経営を選択。さまざまな困難に直面しながらも、自力で課題を乗り越えてきた。
この成功体験を多くの人々に広め、会社員層の資産づくりに貢献したいとの想いが、独自のビジネスモデルの原点となった。
会社員でもアパートメント経営で豊かな人生が手に入るという信念のもと、計画の立案からローンの斡旋、賃貸管理や保険・保証など各種サービスの提案までワンストップで提供することで、独自のビジネスモデルの構築を成功させた。
入居率100%に限りなく近づけるための独自理論
独自のビジネスモデルの構築を支えてきたのが、高入居率を実現するノウハウである。
シノケングループは入居率100%を永遠のテーマとし、常に満室の状況を作り上げるためにさまざまな取り組みを行ってる。特に特徴的なのが、次の3つのコンセプトだ。
1つ目は、厳選した立地。単身者の多い都市のみに限定し、駅から徒歩10分以内・ターミナル駅から30分以内圏内の利便性の高い立地を厳選して提案する。
2つ目は、無理のない家賃設定。30年間培ってきたノウハウを生かし、長期間の安定入居が得られる家賃査定を実施している。
3つ目は、満足度の高いデザイン・仕様の採用。既存の入居者に随時アンケートを実施し、ニーズやトレンドを把握。その結果をデザインや仕様に反映させている。
これらの取り組みの結果、入居率99%超という高稼働の物件づくりを実現しているが、それだけに留まらない。
上記コンセプトに加え、単身高齢者の入居が可能な独自サービス「寿らいふプラン」の提供、多言語コールセンターなどの外国人入居者向けサポートの実施、スマートロックなど各種IoT機器を駆使した「インテリジェントアパート」の標準仕様化など、社会構造の変化に対応する新たなサービスも積極的に導入。
時代の変化に合わせた、魅力的なライフサポートシステムを提供する「スペシャリスト集団」として顧客から高い信頼を得ている。
これら確かな経営理念に基づく取り組みは、シノケングループならではの“バリュー”として位置づけられる。
「不動産流通革新2.0」の時代へ
“バリュー”である、会社員層でも成功するアパートメント経営を「不動産流通革新1.0」と位置づけるならば、現在は新たな潮流である「不動産流通革新2.0」の時代に突入したといえるだろう。
世界的な潮流であるデジタル・トランスフォーメーション(DX)は、不動産業界にも巻き起こっている。不動産テックの導入が急速に進んでおり、これまでアナログ中心だった不動産取り引きが、アプリ一つで手軽に行えるようなってきた。
このような時代の流れを受けてシノケングループは、今回の中長期ビジョンとのミッションとして、「REaaS(リアーズ)」を掲げている。
REaaSは、RealEstate as a Serviceの頭文字を組み合わせて名付けられた。革新的なビジネスモデルと先進技術を融合させ、より手軽かつ安全な不動産取り引きを実現させる戦略概念である。
単なる不動産投資にとどまらず、REaaSを通じて介護問題や労働者不足などの社会的課題の解決に資するための雄大なミッションと位置づけた。
海外展開やREaaS、M&Aによる収益基盤の拡大を目指す
さらに目指すべきビジョンとして、次の3つを掲げている。
1つ目は、海外事業である。国内で成功を収めた「会社員層でも取り組めるアパートメント経営による資産づくり」のビジネスモデルを、海外でも展開していく。
具体的な計画としては、インドネシアで開発・運営を行っているサービスアパートメント「桜テラス」の拡大である。ここで注目すべきなのは、桜テラスのシリーズ展開により、外資系ではインドネシア初となるREITライセンスを取得したことである。
物件開発を次々に行う一方で、REITへの売却という安全・安定的な出口を確保し、圧倒的な競争優位を確立した。投資会社からの引き合いも多く、開発物件以外で数百億円~数千億円規模のREIT組成の需要が見込めるという。
現在シノケングループは中国、シンガポール、インドネシアへの進出を果たしているが、さらに成長が見込める新興国をターゲットに、今後も海外進出を積極的に進めていく方針だ。
2つ目は、REaaSの展開である。単なるDXによる効率化にとどまらず、不動産取り引きにおけるデータ流通の信頼性を高める技術として、「トラストDX」の開発に着手した。今後本格化していくトラストサービス分野において、「不動産のトラストDX」で世界最先端のプラットフォームの構築を目指す。
3つ目は、M&Aである。2020年9月末時点で、M&Aによって取得した事業による売り上げは、グループ全体の約45%を占める。
今後もM&Aを重要な成長戦略と捉え、ライフケア領域、DX領域や、海外企業などをターゲットに競争優位なバリューチェーンを構築していく。
株式会社シノケングループ中長期ビジョン 1 -創業30周年を迎えて-
https://www.apartkeiei.com/articles/-/176