三幸エステートが最新のオフィスマーケットレポートを公開
三幸エステート株式会社(以下、三幸エステート)は8日、2024年6月度の全国主要都市におけるオフィスマーケットレポートを公開した。東京都心5区のほか、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の各市場動向をレポートで見ることができる。
この調査における、東京都心5区は千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区を指す。「大規模ビル」とは、1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビルで、「空室率」は貸付総面積に対する「現空面積」の割合、「潜在空室率」は貸付総面積に対する「募集面積」の割合と定義されている。
「募集面積」は各津警備において公開されているテナント募集面積のことで、統計開始日は1994年1月1日だ。
市場に影響を与えるマクロ経済動向として、2024年1~3月期の実質GDP成長率は、内閣府の2次速報を受けたニッセイ基礎研究所の見通しとて、2024年度が0.7%、2025年度は1.1%と予測された。
ちなみに2023年度の実績値は1.2%で、2024年度の低調さが際立つ。それでも2024年4~6月期と7~9月期は、自動車生産の回復や所得・住民減税の効果などにより、高めの成長率を見込んでいるという。
総務省調査による5月の完全失業率は、前月から横ばいの2.6%だった。4カ月連続で同水準を維持している。2024年度は2.4%とやや低下、2025年度も2.3%と予測されている。
厚生労働省が発表する有効求人倍率と、その先行指標となる新規求人倍率は5月期、ともに前月より悪化し、やや厳しい状況がうかがわれた。企業の人手不足感は強いが、新規求人数は9カ月連続で減少、中でも製造業で就業者数・新規求人数ともに減少傾向が続いており、人件費への投資の絞り込みがなされている可能性がある。
2024年6月末時点での東京都心5区大規模ビルにおける空室率は4.22%で、前月に比べ0.11ポイント低下した。小幅ながら改善傾向にある。今期は空室を抱えたまま竣工を迎える新築ビルがみられた一方で、港区の既存ビルを中心にまとまった面積の空室消化が発生、全体の空室率を押し下げる結果になった。
潜在空室率も6.40%となり、前月に比べ0.41ポイント低下している。
募集賃料はわずかに上昇もほぼ横ばい
2024年6月の東京都心5区大規模ビルにおける募集賃料は、月額坪あたり28,444円で、前月より98円上昇した。同値で横ばいだった2024年4月を挟み上昇傾向が続いているものの、変化幅は小さく、およそ横ばいの状態にある。
募集状況が改善したビルの中には、募集条件を引き上げる事例も出てきているものの、リーシング活動が長期化している物件では、テナント誘致を目的に賃貸条件の緩和やキャンペーンが実施されており、全体として横ばいになっているものとみられる。
募集面積は592,921坪で、前月より33,907坪減少、60万坪を割り込んだ。
区別の潜在空室率を見ると、港区が8.54%で5区中最も高いが、前月比では1ポイント超の大幅な低下になり、注目される動きとなった。港区では昨年、空室を残した新築ビルの竣工が相次ぎ、空室率同様に上昇、2023年7月には11%台に達していたが、今年に入って以降低下傾向に転じている。
複数の新築ビルで大口の募集床がなお残っているものの、既存ビルでは解約予告期間中の募集床が数千坪単位で成約するなど、潜在空室率を押し下げる要因になっているという。
コロナ禍以降、大口の面積帯に関してはテナントの動きも鈍く、解約予告期間中に成約とならないケースも目立っていたが、足元では立地条件などと賃貸条件のバランスが良好な既存ビルを中心に大口需要の吸収が発生、オフィスニーズの強さが感じられるところになっていると報告された。
その他の区の潜在空室率は、新宿区が7.93%、中央区が7.02%、渋谷区で4.82%、千代田区は5区中最も低い3.45%となっている。
(画像はプレスリリースより)
三幸エステート株式会社 オフィスマーケットレポート7月号 東京都心5区大規模ビル 公表資料(プレスリリース)
https://www.sanko-e.co.jp/data/202407_tokyo_om.pdf