エネルギー問題を意識し不動産の新たな価値に
物流不動産の所有・運営・開発にかかる総合事業を手がけるグローバル企業のプロロジスは5日、サッポロ不動産開発株式会社(以下、サッポロ不動産開発)とバーチャルPPAサービス契約を10月2日付で締結したことを明らかにした。
プロロジスが開発した物流施設物件「プロロジスパーク古河4」の屋根部分に、可能な限りの太陽光発電設備を設置し、これを活用していくという。不動産業におけるバーチャルPPAサービス契約はこれが国内初の事例になるといい、注目を集めるところとなった。
PPAはPower Purchase Agreement(電力販売契約)の略。一般的なPPAは、不動産所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有・管理を行う事業者がシステムを設置、電力を使用したい人に有償提供する。つまり発電した再生可能エネルギー電力を使用者に直接売却するかたちになるが、バーチャルPPAは電力と環境価値を切り離し、別個に流通させるかたちとなる。
よって発電に関わる事業者は物理的制約を受けず、離れた場所からの環境価値が可能になり、電力を使いたい人はこれまで通り、小売電気事業者との電気需給契約を結びながら、契約対象の設備物件における発電量分の環境価値を証書として手にできるとされる。
さらに電力を使用する人は、新たな再生可能エネルギー発電設備に投資できるため、再生可能エネルギーが増えていく「追加性」をもつという特長もあり、これによって社会全体での再生エネルギー利用拡大、環境貢献が可能になる。
物流施設で一般家庭900世帯分以上の電力相当の環境価値を提供
今回の契約により、プロロジスはサッポロ不動産開発に、「プロロジスパーク古河4」で設置した太陽光発電設備の発電量6メガワットのうち、日本の一般家庭900世帯分以上の電力量に相当する4メガワット分について、その環境価値を2024年11月から提供していく。
残る2メガワットは「プロロジスパーク古河4」で自家消費するほか、余剰電力も自己託送、異なる場にある施設物件で無駄なく用いていくとする。
プロロジスでは、2040年までにバリューチェーン全体で温室効果ガス排出のネットゼロ達成を目標に掲げており、さまざまな施策を展開してきた。
自社の事業運営における削減だけでなく、物件入居企業の電力グリーン化や環境負荷軽減を支援するソリューション提供も推進しており、時代の新たな付加価値として、不動産の面からカスタマーのサステナビリティにかかる目標達成支援も積極的に実施している。
これからの不動産投資、物件運用として、高い関心を集める手法といえる。
プロロジス プレスリリース
https://www.prologis.co.jp/press-releases/231005-1