新築ビルでは低下も全体では微増
三鬼商事株式会社は7日、2024年2月の全国主要都市におけるオフィスビル最新市況調査結果をまとめた「オフィスマーケット」データの公開を開始した。東京ビジネス地区のほか、大阪、名古屋、札幌、仙台、横浜、福岡の市況を見ることができる。
この調査における「東京ビジネス地区」とは、千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区からなる都心5区エリアを指す。調査対象ビルは、この都心5区内にある基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビルとなる。
「新築ビル」は、調査月を含め、過去12カ月間に竣工したビルを指し、「既存ビル」とは、調査月の12カ月前までに竣工したビルを指す。今回の調査では、新築ビルに該当する物件が22棟、既存ビルに該当する物件が2,557棟で、全体合計は2,579棟だった。
2024年2月における東京ビジネス地区の平均空室率は5.86%で、前月に比べ0.03ポイント上昇した。前年同月比では0.29ポイント低下しており、こちらではやや改善傾向といえる。
既存ビルにおいて大規模な募集開始の動きがあり、また新築ビルでは募集区画を残して竣工を迎えたビルの影響もあったものの、拡張移転などの成約があり、全体ではわずかな空室率上昇になったとされている。
空室面積はこの1カ月間に、全体で約1,400坪の増加にとどまった。
新築ビルの空室率は24.44%で、依然高水準ながら、前月に比べると5.76ポイント低下した。新築ビル5棟のうち4棟が募集区画を残して竣工となったものの、大型空室を残した大規模ビルが既存ビルの枠に移行したことで、空室率が低下する結果となった。
既存ビルの空室率は5.43%で、前月に比べ0.26ポイント上昇、前年同月比では0.54ポイントの低下となっている。前月比での上昇は、大規模な募集開始や、新築ビルから既存ビル区分に移行した物件の大型空室面積がもたらした影響が大きい。
平均賃料は再び上昇
2024年2月における東京ビジネス地区の平均賃料は、月額坪あたり19,776円で、前月より46円、率にして0.23%上昇した。前年同月に比べると238円、率にして1.19%の下落になっている。
直近半年ほどは19,750円付近での推移を続けており、およそ横ばいの傾向が続いているといえる。
新築ビルについては、月額坪あたり27,845円で、前月より280円、前年同月より903円上昇した。既存ビルは月額坪あたり19,613円で、前月比では24円の上昇だが、前年同月比では274円の下落となっている。
エリア別に分析すると、平均空室率は千代田区が最も低く、2.96%で3%を下回った。前月に比べても0.20ポイント改善し、前年同月比では1.40ポイントの改善となっている。
これに次ぐのが新宿区の4.69%で、前月より0.16ポイント低下した。渋谷区も4.83%で続くが、こちらは前月に比べ0.27ポイント悪化している。最も高いのは港区で8.69%、前月比で0.20ポイント上昇し、前年同月比でも0.65ポイントの上昇となった。
平均賃料については、最も高いのが渋谷区の月額坪あたり22,838円で、前月より183円、前年同月比では1,479円と大きく上昇する結果になった。前年同月比で上昇したのは渋谷区のみでもある。
渋谷区に次いで高いのは千代田区の月額坪あたり21,556円、こちらは前月より75円上昇し、前年同月比では259円の下落になった。3位の港区は月額坪あたり19,409円で、前月より54円下落、前月比でもマイナスになったのは港区が唯一であった。
最も低水準なのは新宿区で、月額坪あたり17,902円、前月より62円上昇したが、前年同月比では296円の下落となっている。
(画像はプレスリリースより)
三鬼商事株式会社 東京ビジネス地区 最新オフィスビル市況 2024年3月号公開資料(プレスリリース)
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