東京では飲食店可物件の賃料がやや上昇
アットホーム株式会社(以下、アットホーム)は8日、同社の不動産情報ネットワークに登録・公開された50坪以下の貸店舗募集動向について、アットホームラボ株式会社へデータの調査分析を委託し、その結果を市場動向データとして発表した。
対象となるのは、不動産情報ネットワークにある5~50坪の貸店舗及び貸店舗・事務所、駅から徒歩10分以内の物件で、飲食店として利用ができる物件を「飲食店可」、できない物件を「飲食店不可」に分類して調査するものとしている。なおフロア別では、1階と1階以外(地下階及び2階以上)に分類された。
エリアは、「東京」として銀座、新橋・虎ノ門、六本木、渋谷、原宿・表参道、恵比寿・目黒・中目黒、新宿、池袋、上野・浅草を対象とし、「名古屋」は名古屋駅周辺と栄を、「大阪」は大阪・梅田、なんば・心斎橋を対象としている。
東京9エリアについては、「飲食店可」の物件で、21年上期(4月~9月)の募集賃料が25,030円となり、前期の20年下期(20年10月~21年3月)に比べ1.6%上昇、前年同期と比較しても0.9%の上昇になった。25,000円台を突破し、小幅ながら伸びている。
一方、「飲食店不可」物件は17,210円で、前期より1.1%、前年同期より0.8%、いずれも下落になった。飲食店としての利用可否によって募集賃料の差により開きが生まれてきている。
フロア別でみると、1階物件は21年上期が24,726円となり、前期より2.3%上昇した。前年同期比でも0.7%と微増している。これに対し、1階以外の物件では20,153円と、前期比で0.1%、前年同期比で0.6%、いずれもわずかながらマイナスを記録した。
18年上期を100とした募集物件数指数の推移は、19年上期に87.8を記録し底を打って以降、上昇傾向を続けてきたが、今回137.9となり、前期比で7.2%の減少になった。100を大きく上回る水準で、前年同期比ではなお8.0%の増加を維持しているが、今後の動向に注視が必要と考えられる。
なお、飲食店可物件の募集割合は、池袋を除く8エリアで前期比マイナスとなり、全体でも4.9ポイント減の46.0%になった。20年は上期・下期とも飲食店可の物件割合が半数超を占めてきたが、今回再び飲食店不可物件が飲食店可物件を上回るようになっている。
エリア別では渋谷の賃料低下が顕著
東京9エリアのエリア別動向を募集賃料でみていくと、銀座は飲食店可物件が28,454円、飲食店不可物件が22,260円だった。いずれも前期比・前年同期比で2~5%程度のプラスを記録、また1階・1階以外物件ともに前期に引き続き9エリア内トップの賃料になっている。
新橋・虎ノ門は飲食店可物件が25,896円で、前期比では5.5%の上昇ながら、前年同期比では4.7%のマイナスになった。飲食店不可物件は17,413円で、前期比・前年同期比とも5.5%の上昇となっている。フロア別では1階以外の物件で下落傾向がみられたものの、1階物件では前期比5.7%の上昇と、東京9エリア中でトップの上昇率になった。
六本木は飲食店可物件が25,656円、前期比で0.8%の上昇、前年同期比では1.8%の下落になった。飲食店不可物件は15,478円で、前期比・前年同期比とも小幅ながらマイナスになっている。フロア別は1階、1階以外とも前期比1%以内の微増で、さほど変化していない。
渋谷は飲食店可物件が27,717円で、3万円を超えていた前期に比べ8.3%と大きく下落、前年同期比でも4.1%の下落になった。飲食店不可物件は18,328円で、こちらも前期比4.8%、前年同期比7.0%とややまとまった下落を記録している。フロア別の1階、1階以外でも前期比・前年同期比ともマイナスになり、およそ3~4%の下落幅だが、1階物件の前年同期比は6.5%とやや大きい下落になっている。
原宿・表参道では、飲食店可物件が28,802円で前期より0.2%、前年同期より2.4%上昇した。飲食店不可物件も22,889円で、前期より4.1%、前年同期より2.4%上昇している。それぞれ価格水準として9エリア中トップの値にもなっており、堅調な動きをみせている。フロア別では、1階が前期比・前年同期比で1~2%の上昇、1階以外は前期比で4.2%の上昇ながら、前年同期比は0.1%の微減になった。
恵比寿・目黒・中目黒では、飲食店可物件が25,611円で、前期より1.8%、前年同期より0.1%、それぞれマイナスになり、わずかながら下落している。一方、飲食店不可物件は18,076円で、前期比0.9%、前年同期比で4.0%の上昇となった。フロア別は1階、1階以外とも前期比・前年同期比で下落になり、前期比ではそれぞれ5%程度の下落となったが、1階の前年同期比は9.9%のマイナスと下落幅の大きさが目立った。
新宿は飲食店可物件が25,318円で、前期比6.2%、前年同期比6.3%の上昇を記録、9エリアの中でも前期比トップの上昇幅になっている。これに対し、飲食店不可物件は14,828円で、前期比が1.9%の下落になった。前年同期比では上昇を保ったが、飲食店可物件との差が顕著になっている。フロア別では、1階物件は前期比で微減、前年同期比では11.9%の大幅上昇となったが、1階以外では前期比・前年同期比ともマイナスを記録した。
池袋の場合、飲食店可物件が22,914円で、前期比・前年同期比とも5%弱のややまとまった上昇になった一方、飲食店不可物件で13,893円と、前期比・前年同期比でいずれも5%前後の下落になった。フロア別では、1階が前期比で2.8%の下落、前年同期比横ばい、1階以外が前期比・前年同期比とも2%前後の下落になっている。
上野・浅草は、飲食店可物件で18,980円となり、前期比3.5%、前年同期比で0.9%の上昇になった。飲食店不可物件も上昇傾向で、前期比1.3%、前年同期比3.2%のプラスとなる12,062円を記録した。フロア別の違いが顕著という特徴があり、1階物件は前期比で4.2%、前年同期比で4.1%の堅調な上昇をみせたが、1階以外は前期比5.5%、前年同期比で9.4%と、ややまとまった下落幅のマイナスになった。このエリアでは、これまで1階以外の物件賃料が1階物件を上回っていたが、今回、これにより5期ぶりに逆転して1階賃料の方が高い結果となっている。
(画像はプレスリリースより)
(出典元:アットホーム調べ)
アットホーム株式会社 プレスリリース
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