三鬼商事が全国主要都市オフィスビルの最新市況データを公開
三鬼商事株式会社(以下、三鬼商事)は12日、2022年4月の全国主要都市におけるオフィス市況をまとめた「オフィスマーケット」データの公開を開始した。東京ビジネス地区のほか、大阪、名古屋、札幌、仙台、横浜、福岡の各都市における動向をみることができる。
この調査における東京ビジネス地区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区を指し、このエリア内に立地する基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビルが調査対象になっている。
また、「新築ビル」は調査月を含め、過去12カ月間に竣工したビルを指し、「既存ビル」は調査月の12カ月前までに竣工したビルを指す。今回はこの「新築ビル」に該当する物件が21棟、「既存ビル」が2,582棟で、合計2,603棟のデータを集計したものとなった。
なお、新築ビルの空室率は竣工済みのビルが対象だが、平均賃料は今年竣工予定のビルを含んでいる。
2022年4月における東京ビジネス地区のオフィスビル平均空室率は6.38%で、前月より0.01ポイント上昇した。前年同月比では0.73ポイントの上昇になっている。
前月の3月は前月比でマイナスだったが、再びプラスに転じ、わずかに悪化した。しかしその変動幅はごく小さく、およそ横ばいで推移しているといえる。
4月は大型解約の影響が出ていた一方、既存ビルの大型空室で順調に成約が進んだことなどから、東京ビジネス地区全体の空室面積としてはこの1カ月間、大きな増減のない結果となり、空室率としても横ばいになったという。
新築ビルの平均空室率は19.29%で、前月より0.70ポイント低下した。20%の大台に限りなく迫った前月から、19%台ながらその前半にまで戻している。ただし、前年同月比では11.99ポイントの大幅悪化となる。
4月は新規供給がなく、その一方で竣工1年未満のビルに小規模な成約が発生し、空室率を低下させるものとなった。
これに対し、既存ビルの平均空室率は6.25%で、前月より0.02ポイント上昇した。前年同月比では0.63ポイントの上昇になっている。
館内縮小やオフィス集約に伴う大型解約の動きがみられたが、東京ビジネス地区外からのオフィス移転ケースなどで大型空室に成約が進み、全体では前月比ほぼ横ばいの推移となった。
賃料は21カ月連続の下落
東京ビジネス地区における2022年4月の平均賃料は、原則共益費を含まない値で、月額坪あたり20,328円となった。前月に比べ38円、率にして0.19%の下落、前年同月比では1,087円、率にして5.08%の下落になっている。賃料の緩やかな下落傾向は長く続いており、今回で21カ月連続となった。
新築ビルの平均賃料は、月額坪あたり25,882円で、前月と同値、前年同月比では4,758円の下落になっている。既存ビルは月額坪あたり20,253円で、前月より37円下落、前年同月比では1,025円の下落だった。
エリア別の動向では、平均空室率で千代田区が5.01%と前月より0.08ポイント、前年同月より0.68ポイント悪化している。また、中央区も6.38%で、前月より0.15ポイント、前年同月より1.40ポイント悪化した。港区は8.33%で、前月と同値で横ばい、前年同月比では0.95ポイントの悪化になっている。
これに対し、新宿区は5.55%で、前月より0.08ポイント、前年同月比でも0.09ポイント低下し、わずかながら改善傾向がみられた。渋谷区も5.30%となり、前月比では0.35ポイント、前年同月比でも0.02ポイント下げている。
平均賃料については、千代田区が月額坪あたり22,212円とエリア中最も高い水準で、前月比でも105円の上昇になった。前年同月比では776円の下落だが、東京ビジネス地区内で唯一、前月比プラスを記録している。
中央区は月額坪あたり18,427円で、前月より14円、前年同月比で750円の下落となった。港区は月額坪あたり20,353円、前月比で108円、前年同月比で1,477円下落した。新宿区も月額坪あたり18,559円、前月比では107円、前年同月比で637円の下落になっている。
渋谷区は月額坪あたり21,569円で、千代田区に次ぐ高水準だが、前月比154円、前年同月比では1,758円と、前月比・前年同月比の両方で、エリア中、最も大きい下落幅を記録した。
(画像は三鬼商事「オフィスマーケットレポート 東京ビジネス地区 最新オフィスビル市況 2022年5月号」公開資料より)
三鬼商事株式会社 「オフィスマーケットレポート 東京ビジネス地区 2022年5月号」公開資料
https://www.miki-shoji.co.jp/