ニーズの低下もみられる単身向け賃貸物件の空室問題をクリアするには?
gooddaysホールディングス株式会社の子会社であるグッドルーム株式会社(以下、グッドルーム)は24日、新型コロナの影響が拡大して以降、空室が目立つ傾向も出てきている単身向け賃貸物件の問題を解決し、収益を改善させるためにはどうすれば良いのか、自社調査を実施してその結果を公開した。
この調査は、グッドルームが運営する賃貸ポータルサイト「goodroom」などサイト掲載物件の反響データから傾向を分析し、数値化するかたちで進められている。対象は関東圏の2020年、2021年、2022年における各1月~3月の賃貸市場繁忙期だ。
グッドルームによると、コロナ禍で進んだ在宅ワークやオンライン授業の導入で、一人暮らしをする必要がなくなったり、駅から多少遠くとも郊外の広い間取りの物件を選択するユーザーが増えたりしたことから、都心近接のコンパクト物件として作られた1R・1Kの単身向け賃貸物件において、需給バランスに乱れが出ているという。
まず、間取りごとの反響状況を各期間でみていくと、2020年には1Rと1Kの物件反響割合が65.1%を占めていたが、2021年になると6割を切り59.8%に低下、2022年も59.2%でさらに微減する結果となっていた。単身向けのこれらコンパクト物件に代わり、2DKなど、よりゆとりのある間取りをとる物件の反響割合が上昇している。
単身向け物件の在庫が増えてきていることをあわせて考えれば、なお需給バランスが崩れていることが明らかであるとも指摘された。
20平米以下はとくに注意、賃料設定などにも工夫が必要か
続いて平米数ごとの反響動向を分析、1R・1Kの中でもとくに苦戦を強いられているとされる20平米以下に注目してグラフ化を試みた。
すると、2020年の1R・1K反響における20平米以下の物件反響は合計33%だった。これが2021年になると31.3%にまで低下する。2022年には微増し32%となったが、物件数そのものが上昇しているため、需給バランスに偏りがあることに変わりはなく、反響率が回復したほど反響数に上昇はみられていないとみられている。
また、2020年には、15.20平米、16~17平米、18平米、20平米といったポイントに反響の伸びがみられ、2021年も15.20平米と18平米強の部分で強めの反響があることが確認できるが、2022年には突出ポイントがほぼなく、全体に低調となっていることが分かる。
では「家賃」についてはどうか、同様に各期間の反響割合動向を調査し、とくに10万円以上の高価格帯物件に着目して分析した。
その結果、2020年は1R・1K反響の9.8%を高価格帯物件が占めていた。2021年には11万円弱の物件反響が大きく伸び、全体を押し上げたことで13.31%に上昇したが、2022年には8.9%と2020年水準を下回るまでに低下している。
中でも12万円以上の物件は年を追うごとに反響割合が低下、2022年では軒並みごく低水準になり、10万円以上の中でも10万円台がより多くを占めるようになってきていることが判明した。賃料設定は、これまで以上に慎重に行う必要があると考えられる。
家賃別の反響動向を全体の賃料帯域に拡充し、ボリュームゾーンがどこにあるかみていくと、2020年では6~6.6万円が14.20%、6.6~7.2万円が11.28%、7.2~7.8万円が13.80%となっていた。
2021年になると、6~6.6万円が11.80%、6.6~7.2万円は13.40%、7.2~7.8万円が17.70%となり、とくに7万円台後半で反響割合が増加している。
2022年には、6~6.6万円が12.80%、6.6~7.2万円は12.70%となり、7.2~7.8万円は15%となった。6万円台前半は前年に比べると増加したが、2020年水準までは伸びていない。一方、7万円台後半は前年より低下したものの、2020年に比べると反響割合が増加していた。
2020年~2022年まで、いずれの期間も6万円台~8万円台前半にボリュームゾーンがあることに変わりはなかったが、7万円台後半へ徐々に集まっていく傾向がみられ、設備の整った物件に対する注目と問い合わせが増加している可能性が高いと報告されている。
(画像はプレスリリースより)
グッドルーム株式会社によるプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000010439.html