「不動産のトラストDXプラットフォーマー」として業界を牽引
シノケングループは1月8日、中長期ビジョンのうち“今後の展望”について発表した。
同グループは創業以来、これまで富裕層が独占していた不動産投資を「一般的な会社員層でも可能なアパートメント経営」という革新的なビジネスモデルへと変革させ、新たな価値観によるサービスを提供してきた。
これを「不動産流通革新1.0」と位置づければ、DXが世界的な潮流となっている現在は「不動産流通革新2.0」といえる。
しかし同グループはさらにその先を見据えた「不動産流通革新3.0」として、「不動産のトラストDXプラットフォーマー」の地位を確立させる方針だ。
これによって目指すのは、世界中の不動産を誰もが手軽かつ安全に取り引きができる世界である。国境や世代を超えて、シノケングループのブランドや商品の流通を広げていく。
既に第1弾として、「不動産のトラストDX」の初期開発に着手した。次の段階は、トラストDXプラットフォームを通じた海外取引である。国内自社物件への投資を確保し、現物不動産だけでなく、自社が展開するREITやクラウドファンディングによって、新規に100億円単位の顧客ベースの拡大を見込む。
さらには、国内で成功したアパート経営を発展させた「ライフサポートシステム(用地仕入れから開発、施工、サービス運営、管理までのグループ一気通貫の垂直統合モデル)」を海外へ移植し、REITのライセンスを取得する事業のグローバル化を加速させる。
海外でのREITライセンスの取得は、既にインドネシアで実現しており、外資系初のREITライセンスホルダーとして市場を牽引してる。
ここに「不動産のトラストDXプラットフォーム」を活用した取り引きが実現できれば、シノケングループが理想とする、国境や人々の属性に関わらない自由で安全な取り引きが可能となるはずだ。
2030年12月期目標「売上高2000億円」「営業利益170億円」
創業30周年を迎えてシノケングループが掲げた「中長期ビジョン2020」では、ビジョンとして「世界中のあらゆる世代のライフサポートカンパニー」、ミッションとして「REaaSで人々や社会の課題を解決する」と策定した。
そしてビジョンとミッションを推進していくに当たり、今後10年間の業績予想も検証している。
予想によると2025年12月期の売上高は1500億円、営業利益は135億円の見込み。2030年12月期の売上高は2000億円、営業利益は170億円と予想される。
しかしこの業績予想ではコロナ禍による市場のり混迷に鑑み、海外事業と新規事業の予想は含まれていない。もしこれらの伸長を見込んだなら、新たな次元のロードマップが加わることになり、将来展望がより大きく開けることだろう。
シノケングループは1990年に福岡で創業し、2021年頃に東京へ進出を果たした。当時の売上高は30億円超だったが、その後の株式上場、全国主要都市への展開などを経て、2018年には過去最高となる1113億円の売上を記録。右肩上がりの成長を遂げてきた。
近年ではゼネコンや介護事業などの領域にも進出し、グループシナジーを生かした事業拡大を進めている。これにより安定した利益を生み出し続ける企業体質を実現。「アパートのシノケン」から「ライフサポートのシノケン」へと進化を遂げた。
ビジョンに掲げた売上高2,000億円、営業利益170億円という目標は、既存事業の伸長によって実現可能な数値といえる。これに海外事業やM&Aの強化などが加わると、より大きな成長が見込めるはずだ。
株価ギャップ解消のため東証一部への市場変更も
「中長期ビジョン2020」では2020年11月16日時点の株価から算出した時価総額(≒400億円)と、株主価値とのギャップについても分析した。
株主資本394億円であり、これに703億円の超過利潤価値と、2030年までの成長価値445億円を加えると、株主価値は1542億円となる。理論的には時価総額の4倍近くに跳ね上がる。
成長価値の445億円を除く現状においても1097億円と2.7倍となっており、既に大きなギャップが生まれている。
シノケングループではこのギャップを解消する方策として、東証一部(東証プライム市場)への市場変更を検討している。
株式会社シノケングループ中長期ビジョン 2
-今後の展望-
https://www.apartkeiei.com/articles/-/177