市場規模は前期の落ち込みから回復せず
日本不動産研究所は10月9日、2019年上期の「不動産取引市場調査」の結果を公表した。
調査によると、2019年上期の不動産取引市場の規模は、2018年下期の約1.8兆円とほぼ同水準となった。
不動産取引市場の規模は、2007年上期に約3兆円のピークに達した後、リーマンショックによって約1兆円規模まで縮小した。
2013年上期以降は2兆円超にまで拡大し、2015年上期まで堅調に推移している。2015年下期に約1.8兆円と大幅に減少したものの、その後は緩やかな増加傾向を続けて、2018年上期には約2.3兆円規模へと回復した。
しかしながら、大型取引や外資系プレーヤーの取引の減少などによって、2018年下期は1.8兆円程度まで減少。今期も同水準で推移している。
取引主体はJ-REITのみ買越
不動産取引市場における2001年以降の売買主体別買越・売越状況では、J-REITの買越が顕著だ。特にリーマンショック以降は、唯一買越しを続けている。
J-REITが不動産を取得すると、売却を行うケースが限定される。このため、J-REITへの物件集約が、近年の不動産物件の「不足感」を生み出す要因の一つとなっている。
2017年は外資系プレーヤーが勢いを増し、J-REITの買越額は大幅に減少したが、2018年に入るとポートフォリオの入れ替えが活発になり、スポンサー取引を中心した優良物件の取得が続くなど、買越額が大幅に増加した。2019年上期においても同様の傾向が続いている。
(画像はプレスリリースより)
一般財団法人 日本不動産研究所のプレスリリース
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