低下傾向にあった空室率が再び上昇
三鬼商事株式会社(以下、三鬼商事)は6日、2023年3月分の全国主要都市における最新オフィスビル市況データの公開を開始したことを発表した。東京ビジネス地区のほか、大阪、名古屋、札幌、仙台、横浜、福岡の各都市における市況動向を見ることができる。
この三鬼商事による調査は、毎月、調査対象区内にある対象ビルのテナント入居状況や募集条件を調査し、集計・分析してデータ提供されているもの。東京ビジネス地区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区を指す。
東京ビジネス地区での調査対象ビルは、このエリア内にある基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビルで、基準階面積はワンフロアあたりの契約面積で計測している。平均賃料は坪単価で共益費や消費税は含まれていない。
また、「新築ビル」は、調査月を含め過去12カ月間に竣工したビルで、「既存ビル」は、調査月の12カ月前までに竣工したビルと定義されている。今回、東京ビジネス地区で調査対象となったのは、「新築ビル」が24棟、「既存ビル」が2,573棟で、合計2,597棟だった。
2023年3月における東京ビジネス地区のオフィスビル平均空室率は6.41%で、前月に比べ0.26ポイント上昇した。前年同月と比べても0.04ポイント上昇している。年初より緩やかな改善傾向にあったが、ここへ来て3カ月ぶりの悪化となった。
竣工1年未満のビル物件において成約が進んだ一方、大規模ビルで募集面積を残した竣工ケースがあったほか、既存ビルにおいても縮小などに伴う解約が発生、空室率の悪化につながったとされる。この1カ月間に増えた空室面積は、約23,100坪だった。
新築ビルの平均空室率は29.8%で、前月より8.04ポイント上昇、前年同月比でも9.09ポイントの上昇になり、30%間近の高い空室率を記録した。大規模ビルの竣工があり、そのそれぞれのビルが募集面積を残してのスタートとなったことから、空室率が大きく悪化している。
既存ビルの平均空室率は6.01%で、前月に比べ0.04ポイント上昇、わずかながら悪化し、再び6%台になった。ただし前年同月に比べると、0.22ポイント低下している。縮小に伴う解約影響が大きかったが、建て替えによる成約の動きも見られているという。
賃料は32カ月連続の下落、続く条件緩和
2023年3月の東京ビジネス地区におけるオフィスビル平均賃料は、全体で月額坪あたり19,991円となり、前月より23円、率にして0.11%、前年同月比では375円、率にして1.84%の下落になった。
平均賃料の緩やかな下落傾向は長く続いており、今回で32カ月の連続となっている。また、ついに2万円を下回る水準となり、ここまで低下したのは2018年4月以来の59カ月ぶりになる。
新築ビルの平均賃料は、月額坪あたり27,172円で、前月より230円、前年同月より1,290円上昇した。こちらは大規模ビルの竣工などから、直近1年間で最も高い水準になっている。
一方、既存ビルの平均賃料は月額坪あたり19,852円で、前月より35円、前年同月より438円下落した。
区別に市況動向を分析すると、平均空室率は千代田区と中央区で前月より低下、改善傾向が見られる。千代田区では前年同月よりも低下し、4.16%となっていた。一方、中央区は7.04%で前月より0.25ポイント低下したが、前年同月比では0.81ポイントの上昇で、5区中最も悪化幅が大きかった。
渋谷区は3.95%で、5区中最も低い値だが、前月に比べると0.53ポイント上昇した。前年同月比では1.70ポイント低下し、最も大きな改善幅になっている。5区中、最も高い空室率を記録したのは港区で、8.99%だった。
平均賃料は、千代田区、中央区、港区の3区が前月より下落、新宿区と渋谷区は前月より上昇した。しかし、後者の2区も含め、前年同月比では5区全てで下落傾向になっている。
最も高い水準にあるのは、千代田区の月額坪あたり21,752円で、これに渋谷区の21,450円が続く。残る3区は2万円を切り、港区で月額坪あたり19,748円、中央区が月額坪あたり18,420円、新宿区は月額坪あたり18,243円だった。
(画像はプレスリリースより)
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