試験運用中の指数値、4月は全般に低調
国土交通省は7月31日、2023年4月の既存住宅販売量指数を発表した。登記データをもとに個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工、指数化したもので、2010年平均を100として算定している。
この既存住宅販売量指数には、建物売買を原因とした所有権移転登記個数から、個人取得の住宅で既存住宅取引ではないものを除いて算出するため、これまで総務省統計局が5年に1度実施し、結果を公開してきた住宅・土地統計調査で把握できる「既存住宅取引量」には含まれない、別荘やセカンドハウス、投資用物件なども含んだ動向をつかめるメリットがある。
各月における季節性を排除するため、月次指数において季節調整がなされた上での値が公表されており、それらの影響を除いたかたちで市場動向をタイムリーに把握できる点も利点となっている。
なおこの指数は試験運用中であり、現在、とくに個人による床面積30平米未満のワンルームマンション取得が増大していることを鑑み、マンションにおいて床面積30平米未満の数値を含んだ合計と、除いて算出した結果の両方が併用公表されている。
2023年4月の既存住宅販売量指数は、全国の合計(季節調整値)で111.1となり、前月に比べて3.1%の減少になった。2023年2月時の水準にまで戻っている。
床面積30平米未満のマンションを除いた合計(季節調整値)は100.3となり、こちらは前月比5.5%の減少で、さらに低調な傾向が強くみられた。
東京都は前月比でわずかに上昇
2023年4月における戸建住宅の既存住宅販売量指数は、全国(季節調整値)で104.7となり、前月に比べて8.0%と、ややまとまったマイナスになっていた。
マンションの同指数は、全国(季節調整値)で116.2、こちらは前月に比べて0.1%の増加になった。一方、30平米未満の物件を除いたマンション(季節調整値)の場合は、94.2で前月に比べ3.3%の減少だった。
既存住宅販売量指数の合計(季節調整値)を地域ブロック別にみていくと、前月比で上昇となったのは北陸地方のみで、同地方の指数値は109.3、前月比1.7%の増加であった。
北海道は102.8で、前月より5.3%減少、東北は106.5の前月比2.9%減少、関東は116.3で前月より0.9%の減少となっている。中部地方は111.8で、前月より7.2%減少した。近畿地方は107.4の前月比3.1%減、中国地方は103.3で、前月に比べ12.2%の減少と、ブロック別で減少幅が最大になった。
四国は107.2で前月より8.0%の減少、九州・沖縄は108.4で、前月より2.5%減少している。
東京都では、全体合計(季節調整値)が138.2で、前月より0.9%の増加と、わずかながら上昇した。しかしマンションの30平米未満を除くと、104.7で前月より3.4%の減少になっている。
戸建住宅は101.6で、前月より7.9%減少、マンションは146.3で、前月より2.7%増加した。30平米未満のものを除いたマンションになると104.2となり、前月比で2.8%の減少となっている。
(画像はプレスリリースより)
国土交通省 プレスリリース
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001621166.pdf