コロナ禍で変わる不動産投資への意識
一般社団法人クオーレは22日、投資用不動産の購入経験者を対象とする「投資用不動産の購入とその後」に関するアンケート調査を実施し、その結果を公開した。
近年、老後の備えや早期リタイアでの不労所得確保を目指し、不動産投資を始める人は増加傾向にあるが、長期化するコロナ禍で店舗やオフィスにおける空室率の上昇が認められるなど、市場の変動から意識変化も生じてきているとみられる。
調査は、2021年11月2日~11月3日の期間、ゼネラルリサーチ協力のもとインターネット・アンケート方式で行われたもので、1,008人から有効回答を得ている。
まず、不動産を購入した理由を尋ねると、「副収入を得るため」が55.9%で最も多く、次いで「老後のための保険、貯蓄の代わりとして」が31.4%、3位は「不動産管理に興味があったため」の30.4%となった。
将来を見据えるにあたり、本業だけの収入では不安、できるだけ収入源を増やしておきたいといった考えを持つ人が多いとみられる。なお「節税のため」という越えも4位の29.3%で約3割にのぼった。節税効果を期待する向きも一定程度強い。
状況が落ち着きつつはあるものの、なお収束しないコロナ禍でその影響をどの程度不安に感じているか、所有していることに関する不安の度合いを尋ねたところ、不安が「かなりある」人は18.0%、「それなりにある」人が43.7%で、6割強の人が不安も感じていた。
一方、不安は「あまりない」という人は28.5%で、「まったくない」という人も9.8%にみられる。緩やかな安定上昇を続ける市場動向から不動産投資を始めた人にとっては、やや不安な情勢となっているのかもしれない。
購入で生じた後悔の有無はおよそ半々
資産運用など、利益を求めて購入した投資用不動産だが、購入したことを後悔している向きがどの程度あるか、コロナ禍も踏まえて調査した。
すると、後悔が「かなりある」とした人が14.7%、「それなりにある」人は35.3%だった。合計すると50.0%になる。これに対し、後悔は「あまりない」人が37.4%、「まったくない」人は12.6%で、こちらの合計も50.0%となった。まさに半々という結果である。
後悔している点を具体的に挙げてもらうと、「思ったほどキャッシュフローが良くない」といった声や、「購入時の説明とは違って持ち出しが多い」、とくに「未入居期間のローン返済やリフォーム代」がかかるといった声が寄せられた。投資・運用にあたっては、こうした詳細までよく検討してから着手したい。
また、投資用不動産購入までの契約時点で、不安に感じた点があったかどうかを尋ねた問いでは、「かなりあった」という人が11.8%、「それなりにあった」という人が50.1%となり、多少の不安を抱えつつも購入へと踏み切った人が6割を超えていることが明らかになった。
具体的にどのような不安点があったか、フリーコメントでさらに尋ねた結果では、「遠方の不動産であったため、いろいろと確認しづらいことがあった」といった声もみられている。
専門用語の多い取引、理解が行き届かないケースも
不動産投資の現物不動産取引では、業界ならではの専門的知識がないと分かりづらいことも少なくない。そこで、不動産の購入契約書内容について、どの程度理解できているか尋ねた。
すると、「完璧に理解している」とした人が15.7%、「それなりに理解している」人が57.9%で、7割を超える人がある程度理解した意識を持っている一方、「よく理解できていない部分がある」という人が21.6%、「ほとんど理解できていない」人も4.8%にあり、自身でもその理解度に不安を抱く人がおよそ4人に1人いることが判明した。
不動産購入を検討する際、身近に相談できる窓口があったかどうかという問いでは、「はい」が56.3%、「いいえ」が43.7%となった。オンラインや電話などで相談を受け付けるところも増えており、かつてに比べると利用しやすい相談窓口が身近にあると考えられるが、窓口がなかったと回答している人も4割を超える。
窓口があれば相談したかった内容としては、「購入の法的手続き」についてや、メリットだけでなく「デメリットの内容とそれに対する対応策」、「第三者としての偏りのないアドバイス」、「不動産専門用語、専門知識、法規など」の助言が欲しかったといった回答が寄せられている。
不動産投資は有効な資産運用手段である一方、まとまった金額が動くため、必要に応じて専門家のアドバイスも受けながら、下調べや準備を入念に行い、納得のいく決断で進めていくことが重要だろう。
(画像はプレスリリースより)
一般社団法人クオーレによるプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000090383.html