3カ月連続の空室率改善に
三鬼商事株式会社は10日、2022年1月の全国主要都市オフィスビル最新市況調査結果をとりまとめ、データの公開を開始した。東京ビジネス地区のほか、札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、福岡の各市場動向をみることができる。
この調査でいう「東京ビジネス地区」とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区を指す。調査対象のビルは、この地域内にある基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビルで、平均賃料は共益費、消費税のいずれも含まない坪単価としてまとめられている。
なお「新築ビル」は調査月を含め、過去12カ月間に竣工したビルで、「既存ビル」は調査月の12カ月までに竣工したビルとなる。今回調査時の対象ビル数は、新築ビルが20棟、既存ビルが2,580棟の合計2,600棟だった。
2022年1月の東京ビジネス地区における平均空室率は、全体平均で6.26%となり、前月より0.07ポイント低下、前年同月より1.44ポイント上昇した。
前年同月に比べると悪化しているが、前月比では緩やかに低下、改善傾向にあり、6.5%に迫る6.47%を記録した2021年10月以降、3カ月連続で低下してきている。
竣工した新築ビルの多くが募集面積を残した一方、既存ビルの大型空室に成約がみられたことなどから、東京ビジネス地区全体の空室面積はこの1カ月間に約5,100坪減少したとも報告された。
新築ビルの平均空室率は15.39%で、前月より2.30ポイント、前年同月より11.75ポイント悪化した。まだ3%台と低い空室率を記録していた前年同月に比べると、やはり顕著な悪化傾向がみられている。
22年1月には6棟が新たに竣工を迎え、一部ビルでは満室稼働となったものの、募集面積を残したビルが多く、空室率を押し上げる結果になった。2021年9月に15.12%を記録して以来の15%台となる。
一方、既存ビルの平均空室率は6.15%で、前月より0.10ポイント低下した。ただし前年同月比ではなお1.30ポイントの悪化になっている。
中小規模の成約が多く発生し、順調に進んだほか、大型空室にも一部成約の動きがみられ、さらに解約の影響も少なかったことから、空室率の低下につながったとされた。
平均賃料は18カ月連続の下落傾向
東京ビジネス地区における2022年1月の平均賃料は、月額坪あたり20,508円で、前月より88円、率にして0.43%下落した。前年同月に比べると1,338円、率にして6.12%の下落になっている。
ごく低い空室率を背景に、高値を維持してきた平均賃料は緩やかな下落傾向を続けており、今回で18カ月連続の低下となった。
また、新築ビルの平均賃料は、月額坪あたり26,516円で、前月より2,214円、前年同月より4,750円と大きく低下した。2021年の4~9月頃は3万円付近で小幅な増減を繰り返す傾向にあったが、それ以降は再び下落を始め、今回はややまとまった下落幅での低下になった。
既存ビルの平均賃料は、月額坪あたり20,430円で、前月より84円、前年同月より1,223円下落した。全体平均と同様、緩やかな下落傾向が続いている。
地区別の内訳をみると、平均空室率では、千代田区のみが前月比で上昇した。4.74%で、前月より0.16ポイント上昇している。
一方、千代田区以外では、いずれも小幅ながら前月比マイナスとなり、やや改善傾向がみられている。中央区は0.19ポイントの低下で5.75%、港区が0.10ポイントの低下で8.46%、新宿区は0.30ポイント低下し、5.74%となった。渋谷区も0.17ポイント低下、5.34%にまで回復している。
平均賃料は、空室率が悪化した千代田区のみ、前月比で上昇となった。前月より31円上昇し、月額坪あたり22,201円となっている。ただし、こちらも前年同月に比べれば1,284円の低下だった。
中央区は前月より123円下落、18,524円となり、港区は89円の下落となる20,718円、新宿区が前月より117円下落して18,793円、渋谷区は85円下落し、21,760円になっている。
(画像はプレスリリースより)
三鬼商事株式会社 東京ビジネス地区オフィスマーケットデータ(2022年1月分・プレスリリース資料)
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