読売広告社が調査を実施、トップが港区から中央区へ
株式会社読売広告社は2日、同社の都市生活研究所が行った、実際の住民の街への評価を明らかにする「シビックプライド調査2021」について、その結果概要の公表を開始した。
なお「シビックプライド」とは、その都市に対し、住民が抱いている愛着や誇りのことで、街をより良いものとするため、自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心と定義づけられている。
この調査は、関東圏・関西圏における住民人口10万人以上の自治体、151自治体が対象で、そこに居住する20歳~64歳の男女へ街に対する意識を尋ねた。調査実施期間は2021年12月17日~12月22日、有効回答数としては、各自治体100件以上を確保し、合計15,300件となっている。
同様の調査は読売広告社により定期的に行われており、「シビックプライド」に関する研究調査は2008年から続けられてきた歴史がある。
総合ランキングでは、この街に愛着があるか、誇りを持っているか、街のあり方に共感しているか、今後もこの街に住み続けたいという「継続居住意向」はどうか、街を人にも勧めたいと感ずる「他社推奨意向」はどうかという5指標を調査して評価、1,000点満点で集計採点し、ランキング化した。
スコアについては、質問内容に関し、「非常に当てはまる」から「全く当てはまらない」の7段階で聴取、「非常に当てはまる」を7点、「全く当てはまらない」を1点とし、平均値を算出したという。
その結果、総合ランキングの1位は「東京都中央区」だった。745.2ポイントを獲得し、前回の8位からジャンプアップしてトップに輝いている。
居住する街への評価や街との関わり方について、「お気に入りの場所がある」、「街の散策や散歩をする」、「なじみの店を通じた人づきあいがある」といった項目で他の自治体よりも高い傾向がみられ、愛着の強さが感じられた。東京オリンピック・パラリンピックの選手村などで注目を集めたことも影響した可能性があるだろう。
中央区は、ウェルビーイング指標の構成要素としても挙がる住宅に関する評価をみても上位に位置しており、ファーストプレイスとしての住まい、サードプレイスとなるお気に入りの散策先や店舗の身近な存在といった点などがコロナ禍での高評価を支えたとも分析された。
総合2位は「兵庫県西宮市」の733.2ポイントで、前回調査時の2位をキープ、関西トップで根強い人気をみせている。教育や文化、街の景観、利便性など多くの項目で高い評価を獲得、加えて「もっと良い街にしたい」という住民意識が高く、「市民として発言できる機会が確保されている」といった点も評価されていた。
総合3位は「神奈川県藤沢市」の731.9ポイントだった。前回調査では12位と、トップ10ランク外からの大幅アップで3位の座を獲得している。同じ神奈川県湘南エリアの自治体は、9位に「鎌倉市」、16位に「茅ヶ崎市」がランクインするなど、上位浮上が目立った。
藤沢市や茅ヶ崎市は、「ゆったりのびのびできる、健康的、ワークライフバランスのとりやすい」街といった点で他自治体より高い評価を受けており、コロナ禍で人気や注目を集めやすい傾向が生まれたことから、居住する市民の中にも街の価値を改めて感じる機会が増えたとみられる。
4位には「東京都港区」が725.1ポイントでランクイン、前回の1位からダウンしたが、引き続き上位にある。5位は「東京都武蔵野市」で722.9ポイント、順位は前回と同じだった。
以下、6位に「東京都目黒区」の716.4ポイント、7位「大阪府箕面市」の712.8ポイント、8位が「東京都文京区」の712.6ポイント、9位「神奈川県鎌倉市」711.9ポイント、10位「東京都渋谷区」で709.8ポイントなどとなった。
地元経済圏からの魅力実感が強い街や明確な特徴を打ち出す街の評価が向上
指標ごとの内訳ランキングでは、愛着面で「東京都中央区」が1位、2位に「東京都武蔵野市」、3位に「兵庫県西宮市」となった。
街に対する誇りという観点では、やはり「東京都中央区」が1位だったが、2位は「東京都港区」で安定したブランド性の強さもみられている。3位が「神奈川県鎌倉市」、4位に「神奈川県藤沢市」と神奈川県勢が続き、5位が「東京都目黒区」だった。
おしゃれで人気のある街、話題の街が上位に目立ち、トップ5はいずれも関東圏で占められている。
街のあり方への共感という面では、1位に「東京都中央区」、2位に「東京都港区」が続くが、3位には「大阪府吹田市」がランクインした。
継続居住意向ランキングでは、1位が「東京都中央区」、2位は「兵庫県西宮市」、3位に「神奈川県藤沢市」となっている。なお4位に「東京都港区」、5位「東京都武蔵野市」と続いた。
他者への推奨意向としては、1位が「兵庫県西宮市」で唯一、東京都中央区以外のトップ獲得になっている。2位は「神奈川県藤沢市」、3位に「東京都中央区」がランクインした。4位は「東京都武蔵野市」、5位に「東京都目黒区」となる。
総合ランキングにみる変化傾向としては、「東京都立川市」が前回55位から13位に、「東京都世田谷区」が前回67位から18位に、「東京都中野区」が前回44位から24位に、いずれも大幅ランクアップを果たしており、東京西部エリアの上位化がみられたことも報告された。
コロナ禍前にはベッドタウンとしてのみの意識が強かった街が、在宅ワークの浸透により、改めて特徴や良さを評価されるものとなったと考えられる。
立川市や中野区は、とくに飲食店の充実度などで高い評価を受けており、地元経済圏として利用してみた経験が評価アップにつながっている可能性がある。
このほか、子育て支援に積極的な「兵庫県明石市」や、「千葉県流山市」は、それぞれ前回23位から14位、前回52位から32位と順位を上げ、上昇傾向を維持していると報告された。
この明石市と流山市は、「環境や人口問題など社会課題に積極的に取り組んでいる」という点でも、他自治体に比べ高い評価を受けていたといい、子育てサービスの充実だけでなく、行政として明確にメッセージを打ち出しながら行動する姿が、住民からも評価されているとみられている。
(画像はプレスリリースより)
株式会社読売広告社 プレスリリース
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