中古マンションの人気傾向は新型コロナでどう変わった?
中古マンションの売却サポートアプリ「カウル」を運営する株式会社Housmartは10日、会員登録情報を基とした中古マンションの人気間取りと広さの推移について調査を実施、その結果をとりまとめて発表した。主に新型コロナウイルス感染症の流行前後における変化を見ることができるようになっている。
調査は「カウル」の登録会員を対象に、2020年1月1日~2月29日、2021年1月1日~2月28日、2022年1月1日~2月28日の3期間において実施、対象者数は、2020年の間取りに関する調査が2,699人、広さが2,226人、2021年の間取りが3,121人、広さ2,451人、2022年で間取りが3,098人、広さは2,437人となっていた。
コロナ禍において、緊急事態宣言の発令や自宅隔離、外出自粛、テレワーク・オンライン授業の浸透など、さまざまな理由から自宅滞在時間が増える傾向が生まれた。
これにより、2021年は住まいに対し、ゆとりある広さやプライベート空間を確保できる部屋数を求めるニーズが増大したといわれる。
一方で、2022年3月10日に発表された、公益財団法人不動産流通機構の最新レインズデータによると、制約平米単価は前年比で8.4%上昇、64.51万円となり、22カ月連続で前年同月を上回ったこと、成約価格は前年比で6.6%上昇した4,023万円で、21カ月連続の前年同月比プラスになったこと、そして専有面積は前年比で1.7%縮小したことが伝えられている。
このように、人々の間に広さや部屋数を求めたい意識は根強いものの、物件価格の上昇からそうした希望条件と価格との折り合いがつきにくくなり、広さや間取りを妥協せざるを得なくなっているのではないかと予想された。
「カウル」の調査結果をみると、中古マンションの人気平米数は、コロナ前の2020年で40平米以下が16.9%、50平米台が25.2%、60平米台が26.7%、70平米台が20.8%、80平米台で6.1%、90平米以上は4.3%だった。
これが2021年になると、40平米以下が3.0ポイント上昇し、19.9%にアップ、50平米台は21.3%にまで減少、60平米台は27.7%と微増、70平米台は19.1%で減少、80平米台が7.6%、90平米以上は4.4%となっている。
2022年も40平米以下は19.7%で2021年とほぼ同水準、50平米台が2.2ポイント増加し23.5%、60平米台は27.7%で前年同値、70平米台が微減の18.9%、80平米台は5.9%と減少し、90平米以上は4.3%だった。
DINKSや新婚世帯に人気の高い60平米台物件は、常に27~28%程度と安定したニーズがあるが、ファミリー層に人気の70平米台は2021年、2022年と減少傾向にある。80平米台は2021年に増えたものの、2022年には再び減少、2020年水準を下回った。なお100平米以上のニーズには大きな変動はなかったという。
2021年に伸長した4LDK人気が減衰
中古マンションの人気間取りに関する「カウル」調査データによると、「1R~1LDK」は2020年、2021年、2022年でほぼ変わらぬ人気割合を保っている。
「2DK、2LDK」になると、2020年、2021年は同程度だったが、2022年にはやや人気が低下した。「3DK、3LDK」の場合、2020年の支持が最も高く、年を追うごとに支持割合が低下してきている。低下幅も2021年に比べ、2022年で拡大した。
「4DK~4LDK」では、2021年に2020年の水準を超え、一時的に人気の拡大が確認されたが、2022年には一転して減衰、2020年の値を下回る結果となっている。
間取りで見ても、ファミリー層に向く3LDKのような物件人気が下落傾向にあり、ゆとりのある4LDK人気がコロナ禍の中にあって一時的に高まったものの、足元では再び低下していた。
コロナ禍で苦しくなった経済状況と変わらぬ高騰傾向を維持する不動産価格から、広さや間取りにおいて、こうした傾向が生じているものと推察された。
(画像はプレスリリースより)
株式会社Housmartによるプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000012645.html