三鬼商事がオフィスビルの最新市況を発表
三鬼商事株式会社は10日、2022年2月の全国主要都市におけるオフィスマーケットデータを更新、資料提供を開始した。東京ビジネス地区のほか、札幌、仙台、横浜、名古屋、大阪、福岡の最新オフィスビル市況をみることができる。
この調査における東京ビジネス地区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区を指す。調査対象となるビルは、この東京都心5区内に存在する基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビルだ。
また、「新築ビル」は調査月を含め過去12カ月間に竣工したビルで、「既存ビル」は調査月の12カ月前までに竣工したビルを指す。今回の調査では、新築ビルに該当するものが21棟、既存ビルに該当するものが2,581棟で、合計は2,602棟だった。
2022年2月における東京ビジネス地区のオフィスビル平均空室率は6.41%で、前月より0.15ポイント上昇、わずかながら悪化傾向になった。前年同月比では1.17ポイントの上昇になっている。
新型コロナウイルス感染症の影響が現れ始めて以降、ごく低値に抑えられていた空室率は緩やかに上昇し、2021年10月で6.47%にまで悪化、そこから11月、12月、2022年1月は再び緩やかな低下で改善の兆しもみられていたが、今回は再び悪化で4カ月ぶりに平均空室率の上昇を記録した。
2月は大型空室の募集開始や、竣工予定ビルへの移転などに伴うオフィス解約があり、空室率を押し上げる結果になった。東京ビジネス地区全体における空室面積は、この1カ月間で約13,000坪増加したとも報告されている。
新築ビルの空室率は16.90%で、前月より1.51ポイント、前年同月比では12.73ポイントの上昇になった。2021年2月時点では、まだ4%台と低い値が維持されていたため、そこから比べると大幅に悪化していることが分かる。
この2月には新築ビル2棟が募集面積を残して竣工したため、空室率悪化につながった。
既存ビルの空室率は6.29%で、前月より0.14ポイント上昇、前年同月比では1.03ポイントの上昇だった。オフィスの拡張移転などで成約の動きがみられた一方、大型空室の募集開始や解約も発生し、全体では空室率の悪化となっている。
平均賃料は低下傾向が続く
2022年2月の東京ビジネス地区における募集賃料は、共益費や消費税を含まない計算で、全体平均が月額坪あたり20,418円となり、前月より90円、率にして0.44%下落した。低下幅としては小さいものの、20,500円台を割り込み、19カ月連続の下げを記録している。
なお前年同月比では1,244円の下落、率にして5.74%の低下となった。
新築ビルにおける平均賃料は、月額坪あたり26,587円で、前月より71円上昇した。しかし前年同月に比べると4,575円の下落と、なお大幅な低下になっている。
既存ビルの平均賃料は月額坪あたり20,339円、前月比で91円、前年同月比で1,162円の下落となった。引き続き条件の見直しを進めるなど、賃料の低下傾向がみられている。
区別に動向をみると、空室率では千代田区が4.96%で前月より0.22ポイント悪化、中央区は6.19%で、前月より0.44ポイント悪化、一方港区は8.42%ながら前月より0.04ポイント改善、新宿区も5.65%で前月より0.09ポイント改善した。渋谷区は5.78%で、前月より0.44ポイント悪化している。
前年同月比では全ての区で悪化となったが、新宿区は0.63ポイントの悪化、渋谷区は0.23ポイントの悪化で、それぞれ1ポイント未満になり、それ以外の3区に比べると差が小さい。
平均賃料は全ての区で、前月比・前年同月比とも下落になった。千代田区は月額坪あたり22,112円で、前月より89円、前年同月より1,086円下落した。中央区は月額坪あたり18,469円、前月より55円、前年同月より883円下落している。港区は月額坪あたり20,609円で、前月より109円、前年同月より1,535円の下落になった。前月比の下落幅は港区が最も大きい。
新宿区は月額坪あたり18,732円で、前月より61円、前年同月より702円の下落となっている。渋谷区は月額坪あたり21,751円で、前月より9円下落、前年同月比では1,771円の下落だった。前月とほぼ同水準だが、前年同月比では5区中最大の下落幅を記録している。
(画像は三鬼商事オフィスマーケットレポート最新オフィスビル市況 東京ビジネス地区 2022年3月号公開資料より)
三鬼商事株式会社 オフィスマーケットレポート 東京ビジネス地区 2022年3月号
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