検討会の中間とりまとめ
国土交通省は3月31日、官民各主体が保有する不動産関連情報の連携・蓄積・活用の促進に向け、各不動産の共通コードとしての「不動産ID」を本格的に導入していくことを目指し、運用におけるルールと利用に当たっての留意点をまとめた「不動産IDルールガイドライン」を策定、公表を開始した。
同省では、この「不動産ID」に関するルール整備を行い、不動産業界全体の生産性向上や、市場における不動産の流通・利活用の活発化につなげるべく、2021年9月に産官学の関係者が参加する「不動産IDルール検討会」を立ち上げていた。
今回の発表は、同検討会での議論を経て、まとめられた中間とりまとめの成果であり、IDの基本定義や活用に向けた前提基礎、留意点などが解説されている。
不動産DX推進の基盤としても期待
共通コードとなる「不動産ID」は、不動産登記簿の不動産番号13桁と、特定コードの4桁を組み合わせて構成される17桁の番号。
不動産番号のみで対象不動産を特定できない場合に、一定のルールに基づき、特定コードへ個別の符号を入力するという。特定が可能な場合などは「0000」とされるため、不動産番号がそのままIDになる感覚といえる。
オフィスや店舗など商業用不動産の場合、13桁の不動産番号に特定コードとして2桁の階層コードと2桁の階数が付く。階層コードは、地上・通常階が「G0」、地上・中間階が「GM」、地下・通常階「B0」、地下中間階「BM」となるため、地上3階なら「G003」が特定コードになる。
非区分建物の居住用物件、賃貸マンションなどの部屋ごとを扱う場合には、13桁の不動産番号に部屋番号4桁を特定コードとして付ける。部屋番号は数字及び英文字部分のみを採用、棟番号を表す表記は省略するとされている。これは不動産番号が棟ごとにあるため、実質的に不要であるからだ。
区分所有建物全体の場合は、土地の不動産番号13桁に、建物を表す特定コードの符号4桁を付けて示す。
不動産IDが浸透すれば、物件情報管理が容易になるほか、ポータルサイトなどでの物件検索機能の向上、タイムリーな情報表示・提供など利便性が増していくと考えられる。不動産投資においても、大幅に整備・改善された環境となるだろう。
活用時の留意点としては、住所や地番と同様の性質を有するものとなるため、個人情報保護法との関係から、権利侵害などになることがないよう、適切に取り扱われる必要があるとされた。
また、入力・登録時で、土地と住宅を合わせて取引する際や、複数筆を集約した土地の取引など、複数のID入力が想定される場合に、あらかじめどのIDを用いるのか各主体・主体間において明確化し、混乱を避けるようにすること、IDと紐付けられたデータをどのように利用するか、主体の許諾なく情報が流出することのないよう、個々に決定できるよう整備することも、前提条件として挙げられている。
IDやそれに紐付いたデータの利用範囲としては、制度自体の信頼性が損なわれることのないよう、法令や公序良俗に反する場合など、一定の利用目的での利用は認めないようにすることも必要とされた。
国土交通省 プレスリリース
https://www.mlit.go.jp/