アットオフィスが事業用物件の成約動向調査結果を公開
株式会社アットオフィス(以下、アットオフィス)は4月26日、2021年4月~2022年3月末に募集を開始したオフィスなどの事業用物件について、現時点での空き埋まり状況や賃貸条件などについて調査を実施、その結果をとりまとめて公開した。
対象エリアは東京都港区、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区からなる都心主要5区のオフィスを中心とした物件で、アットオフィスが管理する物件データベースに登録があるものをデータ対象としている。
このデータベースには、小規模物件から大規模物件まで、東京のオフィスを中心に10万件を超える情報を様々なソースから取得、サイトに掲載するものとしているため、豊富で幅広い物件のデータが収められているという。
それによると、現在、常時公開となっている空き物件の件数は、17,000件を超えるまでに増加、この2年で1.5倍以上になったとされる。
募集開始となる物件数の月間値は、新型コロナウイルスの感染拡大以後、増加傾向にあり、この主要5区のオフィス物件に関しても、月間1,000件前後の物件で募集が開始されていると報告された。
募集開始月ごとの空き埋まり状況を分析した結果では、募集を開始すると、その当月や翌月といった、ごく短期で成約に至っている物件も限定的ながらあり、2022年3月の募集開始物件でも1,054件のうち、70件はすでに埋まっている。しかし、残る984件は空き物件で、2022年2月の募集開始物件をみても、合計が854件で、うち768件がなお空き物件、成約に至っているのは86件だった。
一定の期間をかけることで、成約に至るケースは増加するものの、翌月成約に至る物件が、現時点で全体の6.64%、7~8カ月経過して約半数の物件が成約となるといった状況になっている。
2021年4月に募集開始となった物件も1,196件存在するが、成約となり埋まっているものはそのうちの736件、率にして61.53%であり、残る460室、率にして38.46%はなお空き物件のままだった。
全体的傾向では値ごろ感のある物件から成約か
平均の募集賃料単価は、共益費込みで月額坪あたり19,466円となっている。アットオフィスでは、この平均募集賃料はあくまで参考値であり、これをもとに実際の物件における募集賃料条件を決めることは難しいとしつつ、全体的な傾向としては、やはり値ごろ感のある物件が成約に至りやすいとした。
また、この直近1年の特徴として、賃料の修正履歴が非常に多かったこともポイントとして挙げた。かつての貸し手優位な需給逼迫の市場動向から大きく潮目が変わり、とくにコロナ禍に合って変動しやすいオフィスニーズを背景として、こまめに条件の見直し・変更が行われるようになっているとみられる。
今後の賃料動向は、需給バランスのみならず、新築物件の建設コストが増加していることなどから、見通しにくくなっているとしたが、類似物件の募集状況を定期的に確認することで、ある程度適切な条件設定がしやすくなるとのアドバイスを行っている。
アットオフィスへの移転問い合わせ数に関しては、大きな変化はみられておらず、中でも小規模物件から200坪前後のオフィス移転需要は、市況として比較的安定した状態で、おおむね横ばいの傾向が続いているという。
募集賃料だけでなく、それ以外の賃貸条件についても調整範囲が広がってきているとされ、市場動向を注視した柔軟な運用がより一層求められるようになっていることがうかがわれた。
(画像はプレスリリースより)
株式会社アットオフィスによるプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000094499.html